昔、勤めていた会社の話。

 

書類選考を通り、面接当日。

 

辿り着いた場所に在ったのは、ねずみ色の自社ビル。

 

「グレー」ではなく「ねずみ色」と表現するのがピッタリで、余す所なく「ねずみ色」に塗られた何とも異様な佇まいに違和感を覚えた。

 

とある部屋に通された後、しばらくすると一人の男性が入って来た。

 

社長だった。

 

その突き抜けた満面の笑顔に怯えた。

 

けれど、違和感を抱いたまま、私は生活費を稼ぐため入社を決めた。

 

直ぐに後悔した。

 

入社後7日間に渡る社長自ら行う研修に、寒気がした。

 

社長:「生まれる前のことを覚えている?自分で選んでこの

    世に生を受けたんだよ」

私:「あいにく記憶にございません」

 

社長:「自分(社長自身)は何処に行ってもモテるんだ。顔を

    出した先で誰も僕を放してはくれないんだ」

私:「…(愛想笑い)」

 

社長:「女性は特別なデートが好きだよね?高級な店に連れ

    て行くと、みんな喜ぶんだ」

私:「高級なお店は緊張するので居酒屋などの気楽なお店の

   方が、私は嬉しいです」

 

社長:「ブランド物は2つ3つ持っていて当たり前だよね」

私:「ブランド物に興味を持ったことは、今のところありま

   せん」

 

社長:「乾布摩擦は体に良いんだ。僕が良いと言うものは本

    当に良いものだから」

私:「乾布摩擦は肌が赤くなり痒みも出るので、肌の弱い私

   には合いませんでした」

 

何もかもがそぐわない!!!

 

生活はカツカツだったが、研修期間満了を待たずして辞めた。

 

 

アラフィフ、今日もそろりと生きてます。