これが、世間の目か…。

 

声が出ないことを必死に身振り手振りで伝えようとしている私に向けられた、あの憐みの眼差し。

 

ある日、私は突然声が出なくなった。

 

体調を崩していたわけでも、声を枯らすほど喉を使ったわけでもない。

 

朝、目が覚めた時には既に声が出なくなっていた。

 

かすれ声さえ出ない。

 

当時、私が就いていた仕事は販売職。

 

接客は難しいため、店内の見回りと商品補充の業務に就いたのだが、それでもお客様から日に何度も声を掛けられる。

 

その度に、声が出ないこと、そして口頭での案内が出来ないことを詫びようとする私の身振り手振りが手話に見えたのか、皆一様に憐みの眼差しを私に向けるのだ。

 

背後で「星の金貨(※)みたい…」と話している声が聞こえた。※1995年に放映された、ろうあ者のヒロインを巡る恋愛ドラマのタイトル

 

私は、ハッとした。

 

私も、憐みの眼差しを向けたことがあるかも知れない、そう思った。

 

その眼差しが、障害のある方の心に痛みを与えることを知った。

 

 

アラフィフ、今日もそろりと生きてます。