出張先で、接待を終えて上司と立ち寄った居酒屋。
終えた仕事の話をしながら、飲んでいた。
急に黙り込み、うなだれる上司。
眠ってしまったのかと、様子を伺う私。
すると、彼はふいに顔を上げ、叫んだ。
「俺はお前のことが好きなのか!」
驚いた私はつかの間呼吸を整え、一言だけ返す。
「そうなんじゃないですか?」
彼は、妻帯者。
私は、彼に惹かれていた。
思いを伝えることはなかった。
不倫は、したくなかった。
嘘、❝勇気がなかった❞が先で、世間の常識の他あれこれ考えて❝したくない❞という結果に行き着いたのだ。
ずいぶん昔のことだけれど、私たちは互いの思いを伝えあったところで先へ進むことはなかったと、今でも思う。
アラフィフ、今日もそろりと生きてます。