中学生の頃、演劇部に在籍していた私がやらかした話。

 

顧問の先生は大変厳しく、例えば、3ページにわたる長ゼリフを、ほんの少しイントネーションを間違えると「はい、最初から」と、何度も、出来るまで繰り返しセリフを言わせるのだ。

 

他にも演出や舞台道具など、こだわりのある先生だった。

 

本番までに最高の作品に仕上げるのだから、繰り返し練習するのは当たり前なのだが、正直うんざりもしていたのだ。

 

そんな、ある日のこと。

 

その日、私は1度目のリハーサルだけ照明を担当することになったのだが、何せ初めての経験で、しかもその照明は大きく重かった。

 

更に、私は暗い場所に目が慣れづらい鳥目だ。

 

それでも力を入れて何とか動かし、暗転のなか勘ではあるが舞台に向け、スポットライトを当てた。

 

だが、私には重すぎた。

 

力尽きた次の瞬間、照明は照らす場所を大きく手前に下げ、ビタッ!と止まった。

 

そこで勢いよく照らし出されたのは、まさかの顧問だった。

 

「ちょっと!どこ、照らしてんのよ!」

 

苛立った顧問の声が体育館に響く。

 

隣で、同じ部活の友人が涙を流しながら必死に笑いを堪えている。

 

私はというと、恥ずかしいやら可笑しいやらで、これまた必死に笑いを堪えていた。

 

その後しばらくの間、部内で笑い話のネタにされていた。

 

「あの時は、シャキーン!って音が聞こえた気がした」と。

 

 

アラフィフ、今日もそろりと生きてます。