20代後半、派遣で秘書の仕事をしていた時期がある。

 

個人情報のみを扱うその部署は、セキュリティロックのかかった扉を幾つも通り抜けた先、建物の奥深い場所にあり、窓は1つもなく完全に外部から遮断されていた。

 

窓1つない閉ざされた空間の壁には大きな換気扇が設置され、ゴォーと音を立てながら二酸化炭素を排出し続けていた。

 

それでも排出が間に合わなくなることが度々あり、二酸化炭素濃度が高くなると、けたたましく警報が鳴るような職場だった。

 

二酸化炭素濃度警報なんて、後に先にもこの職場でしか聞いたことがない。

 

さて、そもそも私はエンジニアとして派遣されたのだが、そこのリーダーが超多忙ということで、自分がしている仕事を手伝ってくれる秘書が欲しいと言う。

 

リーダー「誰か僕の仕事を手伝ってくれる人はいません

     か?」

 

挙手する私。

 

あっけなく秘書に決定。

 

秘書(私を含め2名)に課せられた仕事は、大きくは下記3つだった。

 

①その部署で働くエンジニアの業務の進捗状況確認

②業務の進捗状況を決められた時刻に海外本部へメールで

 報告

③全エンジニアへの優しい声掛け

 

…③全エンジニアへの優しい声掛け???

 

③については上司から指示があった際、思わず「何ですか、それ?」と確認したほど面食らった。

 

こうして、まごつく間もなく試行錯誤の日々が始まったのだった。

 

 

アラフィフ、今日もそろりと生きてます。