NHK文化センター名古屋教室「クリティカルシンキング講座」へ | これでも元私立高校教員

これでも元私立高校教員

30年以上の教員指導を通じて、未来を担う子供たち、また大人の思考などをテーマに書き綴っています。
日本史と小論文の塾を主宰し、小学生から大学生、院生、保護者の指導をしています。

「あんこ」は室町時代には砂糖なしで精進料理などにも使われていた。
しかし江戸時代に入り、砂糖が手に入るようになると、「あんこ」を砂糖で煮て食べるようになる。
 



庶民にとっては「甘いあんこ」は特別で、さらに赤色は魔除けにつながると考えられていた。
神社の鳥居などを見ればわかるだろう。
したがって人々は、「あんこ」を無病息災といったことを人々は考えて、愛してきたのではないだろうか。
「あんこ」1つでもその歴史の向こうには様々なものがある。
 
例えば今書いたように江戸時代に入って砂糖が手に入るとはどういうことであろうか。
まず砂糖の生産地を考えてみる。
無論原料はさとうきびだ。
という事は南西諸島、大きく言えば多分沖縄だ。
その沖縄を1600年代の初め島津氏が征服し師事実上の植民地とする。
そこから取れる砂糖は薩摩藩にとっては重要な専売品であり、それが京都の人々の「あんこ」になるのである。
 
さらにはそれがやがて江戸の人たちにも伝わり、江戸の庶民たちのお菓子につながっていた。
ところがどっこい話はそんな簡単ではない。
 
その砂糖の売り上げは全て薩摩藩の売り上げとなる。
そうなると薩摩の砂糖が広がれば広がるほど薩摩藩は豊かになっていくと言うことになり、最終的にはその豊かさが江戸時代の終わりに幕府を滅ぼすことになり、やがては明治維新となる。
つまりは「あんこ」が甘くなったから明治維新になったのであろう。
 
こういうことを考えるのにそれほど深刻な知識はいらない。
それよりも大切な事は「想像」することである。
言い方を変えると「疑問」と言っても良い。
知識をたくさん暗記をして覚えることも結構だが、こうした小さなものに「疑問」を持って考えていくことによって、それは現代でいえば新しいビジネスを見出したり、新商品の開発につながる。
 
このような考えのことをクリティカルシンキングと言うのである。
 
この思考法を学ぶ事はとても大切なことであり、いわゆるクリティカルな授業をアメリカの学校では70%を超えて、フィンランドでもそうだ。
一方でOECDの調査では日本では2%から3%程度だ。
現在のアメリカやフィンランドの経済状況と日本の経済状況を比較すれば意外とこんなところに落とし穴があるのかもしれない。
 
昨日、NHK文化センター名古屋教室の方と、新しく社会人の、つまり大人を対象とした講座の打ち合わせを行った。
その講座とは「大人のためのクリティカルシンキング講座」(オンライン)である。
 
こんなことを考えてると、こんな新しい企画に繋がる。
 
まさに「あんこ」万歳である。