スポ根的学力指導は、勉強を嫌いにさせる | これでも元私立高校教員

これでも元私立高校教員

30年以上の教員指導を通じて、未来を担う子供たち、また大人の思考などをテーマに書き綴っています。
日本史と小論文の塾を主宰し、小学生から大学生、院生、保護者の指導をしています。

90分から120分。

受験指導とは、時に長くなってしまうことがあります。

そうした場合、オリンピックのカーリング女子を見習って「もぐもぐタイム」にするようにしています。

今日も、そのためのお菓子を大量に購入してきましたが、これは予想以上に大切なことだと思います。

 

いまやスポーツの世界では常識ですが、勉強、ことに指導を受ける時間、授業でも同様ですが、これを長くすれば学力があがるなんてことは、ほとんどありません。

 

指導の方法は従来型で、ただただ時間だけ、授業数だけ多くする、これはもう「スポ根」の世界です。

 

確かに、ある一定の長さはどの分野のトレーニングでも必要であり、それを否定するものではありません。

 

しかし、学校で言うなら「8時間目」「9時間目」・・・これはもう、学校の自己満足、宣伝だけが目的・・・「スポ根」というか、「巨人の星」の正解です。

 

勉強というトレーニングをするのであれば、指導者が量や長さに依存するのではなく、「質」の向上に努力すべきではないでしょうか。

 

もっとも、この「質」の改善は容易ではありません。

多くの場合、自己の学力が向上したときに「経験的手法」を指導に用いますが、これはまずまず成功しません。

また、他者の「模倣」もしばしば見受けられますが、これとて「型」を真似するだけ、もっといえばほぼ盗作になるため、大きな効果を見出せません。

 

そうなると、ほかに選択肢がなくなり、どうしても学力の向上のために「量」と「長さ」を選択することになるのです。

つまり、時間を伸ばすのは、実は手詰まりの証拠なのです。

 

これから、小学校6年生の皆さんや、中学校3年生の皆さんは、志望校選びが始まるでしょう。

その時に、

 

「うちの学校は、こんなにたくさん勉強させます」

「うちの学校の課題は、こんにたくさんあります」

「うちの学校は、授業数が他の学校よりこんなに多いです」

 

こんな、ことを説明会で話す学校は、きっと「スポ根」学校であり、昔で言えば、

 

「練習中は水を飲むな」

 

なんて指導を、学習でしていると思ったほうがいいと思います。

 

それよりも、「もぐもぐタイム」があったり、時には授業中に映画を見たりといった余裕ある楽しい時間があり、それでも数字的に学力は伸ばせます、そんな学校を探してほしいと思います。

 

「スポ根」的な学習指導をうければ、そもそもその分野の学問を好きにならず、ただただ歯を食いしばって頑張るだけです。

 

本来、スポーツでも勉強でも、楽しく興味深いものであり、ひたすら我慢するものではありません。

変な精神論を振りかざすのは、まさに昭和の指導であり、どちらかといえば、適度な「もぐもぐタイム」のほうが、学力の向上に寄与すると思います。

 

そのうえで、合理的で斬新、かつ独自の指導方法があれば、きっと勉強が楽しくなり、同時に学力も向上するのでないでしょうか。