Blue to Gray

Blue to Gray

気ままな文章の欠片たち
※ちなみに代理投稿です

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彼女が唐突に私に問うた

「ねぇ、何色がお好み」と。
無邪気に笑う横顔、薔薇色の頬、真っ直な髪が微かな風になびく


隣に座る彼女の左手を右手に感じる

初めて此の手を握ったとき
その冷たさに彼女は驚いた様子だった
それでも彼女はこの手を離さなかった

それから幾月かの時間が過ぎ

彼女はその冷たさに慣れたのか
この手が幾許か暖かくなったのか

二人並んで凪の海を見つめる穏やかな時間
それだけで幸せだった


石畳の坂道を下り
此処へ来るのも幾度目の事であろうか


白い砂の小さな海岸
他に来る人もない

此処でこうして並んで時を過ごすのも
幾度目であろうか


何処迄も続く海の青。
果てし無く広がる空の青。

光り輝き透き通る色

砂に落ちる2人分の影に目を落とし

私は青が好きだと答えた

彼女は小さく頷き

ほんの僅か時を置いて
「そう」とだけ小さく答え
また遠くを見つめる

微かな潮騒と遠くに鳴く海鳥
唯々穏やかで、暖かな静寂

再びの沈黙の中
あどけなさの残る横顔は微かに微笑んでいるように見えた

「この景色は永遠だよ」
私は小さく付け加えた

この幸福な時間が何時までも続くようにと
心の中で私は祈った

彼女もまたそう願ったのであろうか
重ねていた手を細い指でそっと握った


それから幾時かが過ぎ
暮れなずみ、一層輝きを増す水面


2人分の足跡だけが砂浜に残った
何時しか風がさらおうとも
この記憶だけは純粋なまま

屹度今もあの場所に





5月の雨上がり

けぶる景色の中、微かな香りを聞く。

白いオールドローズはその葉の緑の葉を併せて
今年最初の色を控えめな色に寄せて
漂わせていた
 

命を象徴する緑の色彩
其れに対を成すように立ち並ぶ

古びたダルトーンの街並み
閉ざされた家々の窓

何処へ行こうというものでもなく
只、徒に
通いなれた道すがら
懐かしさにも似た湿っぽい感傷に浸る 


棘のない白い薔薇
有名な絵画の題材

いや、棘があるからこそ
その美は殊更に人を惹き付けるのだろうか

触れられないからこそ・・・・

そんな言葉を呟き
文字を綴る

誰へともなく
何処かへ届くとも思えない
祈りとも、呪いともつかない言葉を繰り返し

唯々追憶の彼方に思いを寄せる
此の胸懐はおそらく現在にはない

何時かの青い春を
青葉の鮮やかさの中に今も変わらず
佇んでいるのだろう

幾年月が過ぎ

又何時かあの場所へ
この場所へ帰る時も

この胸懐はここにあるのだろうか

取りとめもなく考え彷徨ううちに
気まぐれな雨がまた
髪を濡らす


~それはまた別のお話し~