分娩室にて | 地球を旅するダンサー⭐︎ノール

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制限なく自由にいきれてる?

ここがどこだか、どこに行くのか解らないけど、
ついに分娩室へ入場!!

あーーー、ここで母になるのか。。。
やったるで。

と、妙な意気込みで分娩台に乗せられた。

とりあえず、世紀の瞬間を迎える
サンクチュアリをこの目に押さえようと

目を恐る恐る開けた。

そして、
幻滅ーーーー。

ガッカリした。


部屋はとっても綺麗で、
助産婦さん達もブラジルの良きお母ちゃん。という感じが
プンプンしていて、良し。と思ったけど、

分娩台が、私が1番嫌いなタイプだった。

仰向けに寝て、股を上に開くタイプ。

そんなんで力出る訳無く無い??
普通に考えてよ。あんたも人間でしょ??
むしろ、医者でしょ??
と思う。

どういう感性でこんなものがつくられたのか。。。

一説によると、
ルイ14世?だか何世だか忘れたけど
彼の性的思考だとか、何だとか、、、

馬鹿らしかーーーー。

でも、今更ここで文句も言えない。

分娩台がイヤだから、
ここで生みません!!とか、、、そんなの今更無理だし。

もう、1分1秒でも早く出したい!!
この痛みから逃れたい!!

ので、諦める。

分娩台に乗せられ、股を開いてみるけど、
もちろんとっても居心地が悪いし、
力なんて出ません。

もう、完全に、泣きっ面に蜂。

せめて、背中に何か挟んで欲しい。
と、マリアさんに言えば、枕を挟んでくれた。

それでも全く不快だったけど、
無いよりマシ。
だけど
もうどうでもいい。

今更ここで、分娩台が気に入らない。とか言う気力も無いし、

やるしかないのだ。

痛くてそんなちょっとの事なんて気にしてられなくなってきた。

もーーーどうにでもなれ。だ。

そして、もう、早速
いきんでも良いですよ。の合図があったのだけど、
なんだか力の入れ方が解らないのでいきめない。

陣痛の痛みが来たら、
今度は思いっきりいきむのだ!!

確か、うんこをする時と同じ。。。
だけど、私は便秘でも無いしな。。

えっと、ここに力を入れるのか??
いや、腹に1番力が入った。違う、違う。
菊の門らへんに力を。。。

ぎゃーーーーーーーー、、、痛い痛い。。

何度かいきんでいるうちに、
さっさと生んであげなきゃ、
赤ちゃんも苦しいハズだ!!
それに、私が痛い事でビビって力が出せなくて、
赤ちゃんの命に何かあったら、情けないなんてレベルじゃ済まされない。

いや、もう、限界までいきまなきゃ、
この痛さは終わらない。

そこで私は、何度か、
限界までいきんでみた。

マックスの痛みを乗り越えてたら、
マックスの痛みが待って居た。

けど、生まれない。

力を入れ始めた所から、
チクっとした。
注射をされたのだ。麻酔だ。。

そうか、とうとう切られるのか。
と思ったけど、
あんなに会陰切開を嫌がっていた私だけど、
この期に及んでは、
もし無理なら、切って下さい。と思える程
猛烈に痛いし、
現在、私は無理な事をしていると思った。

自分でたんぽん入れるのもビビる位の私が、
メロン小くらいの人間の頭を出そうとしてるのだから。
プチトマトですら入れた事ないのに。
そりゃ当然、無理ばい。

結局 いつ、どうやって切られたのか、
記憶に無いのだけど、
後日、マリアさんいわく、
中も外も横も切ってた。と苦い顔して言っていた。

限界を越えて、
血管キレそうになりながら、
限界の力を込めていきむ。
(実際、小さな毛細血管はかなりキレてたので、産後、力が入ったとこがアザだらけになってた。)

握力検査の時に出す、限界の力の100倍くらい出し切った。

それでも生まれない。

助産婦さんが2人と、マリアさんが
私の体を押さえつけ、
お腹をぐいぐい押している。。。

だけど、
いきみ終わって、一瞬の一息の時も、
ぐいぐい押さえるし、しかも、
炭酸飲料、レッドブルーを飲んだ後なので、
吐き気すらして来た。

胃の上をぐいぐい押さえるから、
もう、げっぷだか何だか、吐き気がして来た。。

さっきまで、ギャーこらギャーーーこら
言ってた私だけど、
超冷静になって、

『ちょと、、タンマ、タンマ、
 タップ タップ。。』

と言って、その手を払いのけた。

マリアさんですら、その日本語を解って無くて、

あーーーきっと苦しいのね。的な対応で、
マリアさんも、
『アショーキ スィン。。(多分そうだと思う。)』とか
 完全にブラジル人側になって居た。

ちょっとウケた。

一瞬その手を離されて、また元に戻された。

ソレも一大事だけど、
どうでもいいや。吐いてしまえ。と
居直った。

細かい事は伝わらないし、
一刻を争ってるので、
小さい事は全て諦める事にした。

次の出産の時は、
炭酸は絶対に飲まないぞ、
リポビタンデーとかにしておこう。
と、どうでも良い事をまた考えた。

いきむ度にどうでも良い事を思ってしまう私。

あーーーー、、
この感じ、
幼稚園の時に、
始めて便秘になって、
デカイウンコが出なくて泣きながらいきんだっけ。。。

どうしてこんな時にそんなどうでも良い事を思ってしまうのだろうか、、、
私の人生で1番の瞬間なのに。。。

もっと、神々しい感じにしたいのに、
結局庶民的になってしまう私。。

そういうのも含め、
悲しかった事、辛かった事が
何だか、色んな事が走馬灯の様に、頭をよぎっていく、、、

いきんで息が続かなくなってもそれでもいきむ。

よし、コレが最後だ。と思ったのが4回くらいくりかえした。

この頃の痛みは多少は慣れて来た。というか、
感覚が、数十秒ごとにあってるし、
不思議と、いきんだ後はいきみまくって感覚が無くなってるので、
痛み自体をそれほど感じなくなる。

だけど、もう、すぐのハズ。
なんだかもうすぐだと感じる。

そして、
ヤーーーラッブ。

神様、お願いします。
どうか、力を貸して下さい。


と祈り、
いきんでいきんで、いきみまくった時、、、

なんだか一瞬、体がわっと軽くなる。。。というか、
熱くなると言うか、、、
完全に飽和状態になった。。。


その時は、痛みなど感じなかった。

その後、ずるん。といった感じで
頭、肩、、と出ていった感じが解った。
だけど、
麻酔のせいか、
もうそこだけ感覚が無くなってしまった。

出た?出た?出たんだよね??
今、出ましたよね??


君たちみんな、股の前で忙しくしてるもんね。
(自分からは見えない。)

あーーーーー
やった。やったよ、、、

だけど、
鳴き声が聴こえない。。。


落ち着け。落ち着け。。。

そのうち聴こえるはず。
インシャッラー。。。。

みんなして、赤ちゃんを連れてあっちの方向へ向かって、
水で洗ってる音がしたり、みんながコソコソ話してるのだけは
解る。。

おいおいおいおいおいおいおい、、、

ヤーーーラッブ、ヤーーーーラッブ。。。
神様、お願い!!
どうか、無事であります様に!!!!!!!


と、冷静を装って願っていた。。。

すると、
『うぎゃーーーーー、うぎゃーーーーーーー、、、ウヒ
 うぎゃーーーー、、、 エ クシュン。。。。クシュン、、、
 うぎゃーーーー。』

わーーーーーーーかわいい。泣いてる。

しかもくしゃみまでしたーーーー。。

あーーーーーーーーーーー
終わった。終わった。

あーーー見たい。見たい。

そして、
早速私の股の接合手術がなされている。

てか、以外と痛い。
超痛い。

さっきまで、スンゲーーーーー痛いのに
耐えて来たくせに、痛い。

ちくちくするし、
糸を通す時の痛さがまたキモイ。

股に力が入る度、
はい、力抜いて、、、と言われるけど、
そんなん無理でしょ??

と、多少力抜くけど、
実際そんなに抜けて無かったと思う。。

あいたた、、
あいたた、、、ぎゃーーーーー。。

てか、もう5針縫ったから、
そろそろ終わり??
と思って

まだですか??
と聞けば、『アインダ ノン。。(まだ)』と言う。

10針我慢してたので、
さすがに終わってくれるかと思ったら、
また
『アインダ ノン。』

は??
10針縫ったよ??
てか、針と糸がどこをどう縫ってるか、
感覚で解る。痛い。。

そこで、マリアさんが
『赤ちゃんですよーーー。』
と、抱いて持って来てくれた。

わーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
超かわいいドキドキ

しっかり、ぐるぐるに布に巻かれた私の赤ちゃん。
動けない私の顔の横に赤ちゃんを持って来てくれた。

超デカイ目で、
きょろきょろ廻りを観まくってる。
いきなり出来上がった顔立ちと、
通った鼻筋と、くっきり二重に、
ビックリ!!!!

思わず、
『ムイト ボニチーニァ!!!(めっちゃ かわいい!!)』


思わずポル語が出て来た事が、悔しい。
完全に、ここの空気に飲まれている。

『ママイ アキーーー!!(ママはここですよーーー。)』
って言ったら、

この赤ちゃん、
アラブ人のあいづちで、
『あーーーーーーーー。』と返事した。

超かわいいいーーーーー。。

わーーー、、可愛過ぎるぞ。。涙

股を縫われながら痛いたたたた。。。となりながらの赤ちゃんとの
対面。

しかも、赤ちゃんがくしゃみするもんだから、
早く温室機の中へ入れたいらしく、
対面はこれで終わり。

マリアさん、
手術着まで着ちゃって、
ここの分娩室の人と何ら変わりない。
というか、一緒になって、働いてる。

そして、私の接合手術はまだ終わらない。
もう20針は縫っている、、、涙

数えるのが恐ろしくなってきたので辞めた。

その間、
私の股の前で、マリアさんは、
さっき、病室で泣いていた女の子の事を
女医さんにどうするのか??と相談していたりした。

どこまでも慈悲深い。
けど、

何か私の股を眺めながら
(術後を見守ってくれてるのだけど、)
二人して、私を完全に無視し、
真剣に話してるので、なんだか妙な気持になる。

そして、やっと終わったのだけど、

二人はまだ話込んでいるので、
私は、どうしたらいいのか解らず、

自力で起き上がって、
分娩台を降りようとしていたら、

『ちょっと、あなた、まだ動けないんだから
 大人しくしてて頂戴。』
 と、怒られた。

そういう訳で、
出生証明書用の指紋取られたり、
赤ちゃん取り違えが無い様に、腕に認証を付けたり、
作業が終わって 台車?に乗せられ、
マリアさんと、みんなのおしゃべりが終わるのを待った。

その頃もマリアさんはみんなと一緒の手術着を着て、
完全に助産婦さんとして振る舞っていたので、ウケた。

こうして、
3時28分。

3215グラム
50センチ

の、ちょっとデカイ赤ちゃん誕生。

破水から6時間弱のあっと言う間の出産だった。
以外に安産。

アルハムドゥリッラーーーーーーー!!!