それは一瞬の出会い…
心に深く刻まれた後ろ姿…

一世紀近く生き抜いてきた
百戦錬磨の気高い人生…

女性が自由に生業を選択できない
箱の中でくくられていた時代…
それでも人はその枠の中で 
未来に自由を願い誠実に学び…
勝利を求め力強く戦い…
我慢と努力が当たり前の
強靭な心意気の日々と…
想像しかできない先人の苦難…
そんな中…

他者のため尽力に努めたいと
医学の道を志すも…
性差による巨大な壁が立ちはだかり
どうにもならない現実…
そうして
絶対的な力の支配下に
献身の覚悟で従う…
それは…

島国から少し飛び立った
無機質な空間で…
戦うことへの
赤の書簡を送りつける日常…
やるせなさ…
行き場のない感情がうごめく…

時代は変わり…

忘れたことはないあの時の行い…
己の書簡で
どれだけの光が空に化していったか…
どれだけの星が夜にとけていったか…
己を責め続け
そう…
半世紀の月日が経った今もなお…
言葉を詰まらせる…

まるで目に見えない重圧に
全身で耐えてきたかのような…
想像したとしても
決して追いつかない体験…
そして

己だけ長く生きてしまった時間を
光と星に詫びるように…
大きく湾曲した背中など
決して言い訳にせず
長い時間毅然と立ち続ける姿勢に
真ん中に据えた軸が見えた瞬間…
 
その時…

緑や白の…光と星が…
その凛とした姿を
真綿のように包み込み
穏やかに寄り添っていた…
それは…

もう自分を責めないで…
優しさをありがとう…と

確かに微笑んでいた