母はすぐに大学の入学金や授業料を
振り込んでくれた。
大学は自宅からは通えない距離だったから、
1人暮らしもしなくてはならなくて、
かなりの金額になってしまうと心配したが、
母は
生まれた日から学資保険をかけてるから
大丈夫だよ。
と笑って言った。
家族みんなで旅行がてら、私が一人暮らし
をする部屋を決めに行くことになった。
兄は終始不機嫌で何も話さなかった。
私は大学に実際には行ったことがなかった。
オープキャンパスや大学説明会があったこと
も知らなかった。
入試は地方入試で自宅から近い会場で受け
ていた。
大学に着くと、大きなキャンパスに
圧倒された。
えー!ここに通えるかな…と不安になったが、
兄が不機嫌であまり時間をかけることはでき
ず、早く部屋を決めなくてはならなかった。
生協で物件を紹介してもらい、1件だけ見に
行き、そこに決めた。
家具も全て生協で購入した。
後から、友達の部屋に行ってみて、初めて
オシャレな家具の存在を知った。
もうすぐ私の新しい生活が始まる。
家を出て、母や兄のいない世界が始まる。
私は大きく深呼吸をした。