今も現場に立ち続ける
現役バリバリの73歳に
警備の実態を教えて頂いた。





柏耕一(著)『交通誘導員ヨレヨレ日記』

書店でよく目にすることと、交通誘導員の実態について興味を持ち購入。

この本は、現役の交通誘導員でいらっしゃる著者の柏耕一さんによって、その実態が事細かに日記形式で記されている本です。

交通誘導員というのは、工事現場などで「通行止め」と書かれた看板の前に立ち、赤い棒を持って「こっちですよ〜」と誘導されているあの方たちのことです。

柏さんは、この本が出版された2019年時点で既に73歳。かなりご高齢の誘導員さんです。

では働き出してからずっとこの仕事をされているかというと、そうではありません。

なんと40年間ほど、そのキャリアの大半を出版業界でライターとして過ごし、そのあと誘導員になられているのです。

ですからこの本も、柏さんに誰かがインタビューをして作られたわけではなく、ご本人が肌で感じた出来事をご本人が執筆されているのです。

かといってライターとして潜り込んでいるわけではないため、イチ誘導員としての見解が超具体的に書かれていました。

読んでみて思ったのは、失礼を承知で申し上げると「きついなぁ。僕だったらしたくない。」ということです。

それほどまでに、理不尽な現場事情が記されていたからです。

だけどここで、ある言葉が目に入ってきました。


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私のような高齢者は警備員以外にやれる仕事は少ない。マンションの管理人もはねられてしまうに違いない。介護職もそろそろ介護される年齢である。そう考えると交通誘導警備の仕事ができるだけでもありがたい。(p.206)
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「そっか…。」と思わされました。

この世の中は、それぞれがそれぞれの事情であらゆる職をこなしているのであって、個人がどう思うかは自由だけど、だからどうってわけでもないんだ、と。

交通誘導員というひとつの仕事を通して、社会の構図を教えてもらった気がしました。

今後、街中で誘導員の方を見かけた時には節度ある態度で接しようと思います。

間違っても、道を通れなくされたイライラをぶつけたりはしません…



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※この本、他にも様々な職種でシリーズ化されているのでそちらも読んでみようと思いました。

自分にとっては何気ない日常でも、他人からしたら新鮮みたいなことってありますよね。

僕も、毎日鬼滅に振り回される「書店員キメキメ日記」とかなら書けそう…笑

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さてさて…

読み終わった本は、今宵も本棚へ…