「ついついしてしまう」には理由がある。
それを生み出せる人には価値がある。
表紙と冒頭のページに引き込まれて購入。
(以下参照)
この本は、写真にあるような仕掛けについての考え方、日常にある仕掛けの紹介、そして仕掛けの作り方が書かれている本です。
注意しなければいけないのは、駅などで見かける「禁煙!」や「駐車禁止!」という貼り紙などは、「人を動かす」という意味では共通しているものの、本書における仕掛けの定義からは外れるということです。
では、本書における仕掛けの定義とは何か?
以下のFAD要件を満たすものを、本書では「仕掛け」と定義しています。
F(Fairness):公平性(誰も不利益を被らない)
A(Attractiveness):誘引性(行動が誘われる)
D(Duality of purpose):目的の二重性(仕掛ける側の目的と仕掛けられる側の目的が異なる)
つまり、当事者の行動を強要するのではなく、元々あった行動の選択肢を増やした上で、選択はあくまで当事者にさせる。
そして、誰も損した気持ちにならないものということになります。
先程の例で言えば「禁煙!」という貼り紙は元々あった行動がただ禁止されているだけ。
一方で仕掛けは「吸う」という選択肢も取れるけど、つい「吸わない」という選択をしてしまうような何か、のことを指します。
少し話が逸れますが、以前キングコングの西野亮廣さんがハロウィン翌朝の渋谷のゴミ問題を解決すべく、ゴーストバスターズなるものを結成したことがありました。
具体的には、ゴミを集めることで完成する(ゴミがなければ完成できない)アートを渋谷に設置したのです。
これによって、街を歩く人々はゴミを集めても良いし別に集めなくても良かったのだけれど、つい集めてしまい、結果的に街のゴミは減りました。
これぞ、まさに仕掛学の転用例だと思います。
ここだけを見ると彼のようなエンターテイナーだけが身に付ければ良い考え方の気もしますが、
決してそうではなく、要するにうまい仕掛けができる人というのは「人がどういうものに興味関心を持つのか」「何に影響を受けてどう動くのか」を考えるのが上手な人なんだ、と読んでいく内に気付かされました。
そういう意味では、人と関わる立場にある全ての方にとって何かしらのヒントになるのではないか、と思うことがこの本には書かれていました。
普段何気なく選んでいた選択肢が、実は仕掛学だったんだ!という発見もあり、楽しみながら読むことのできた本でした。
※日常で「あ、いま仕掛けによって動かされた!」と思う場面に遭遇したら、是非教えてください😊
ちなみに僕は、ドアノブがついている扉は引いてしまうタイプです。
さてさて…
読み終わった本は、今宵も本棚へ…
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