天国へのたび | 長谷川希オフィシャルブログ ママのしあわせ♪家族のしあわせ♬ よい循環

天国へのたび

はじめてお会いしたのは、
葬儀場の写真の中の、お父さんでした。
とってもとってもやさしい笑顔で、愛にあふれた、
それはそれはいいお顔でした。


  お父さん、おつかれさまでした。


  ママ、天国で、お会いしているのかな。
  仲良くやってね。

  ママ、〇〇ちゃんが、ご遺族の方が、この悲しみを
  乗り越えられるように、助けてあげて。


そう、ご遺体の前で、ご冥福をお祈りしました。



私の母が天に召されたのも、こんな暑い夏の日のことでした。


とてもとても近しい人の死を、はじめて経験した3年前のこと。
イギリスのポーツマスの語学学校で、会社の研修中だった私は、新潟から掛かってきた突然の電話で、雷に打たれたようなすごい電流が
体の中をかけてゆくのを感じました。

そして、母の命の終わり方が、なんとなく想像できました。


人間は、そう簡単には死なない生き物なんだよ。
そう言っていた、母の言葉を思いだしながら、
ヒースロー空港へ向かうタクシーの中。
ロンドンの空を見上げながら、突然・・・


ママが、いる。


どういうわけか、私の体の中に、母がいることを強く強く感じた瞬間が訪れました。

確かに彼女は、私の中に入った。
私の中に生きている。
指先が、体中が、ビリビリしたような感じがしました。

ああ、一緒なんだ。
私の中に入ったんだ。

私は、彼女の人生もこれから生きていくんだ。


そう、強く強く感じました。
涙は流れているのに、一方で安心したような、不思議な気持ちでした。


今の状況では考えられないけれど、ぼーっとしていた私は、
ヒースロー空港で、何故かチェックインもせずに、搭乗口まで来てしまっていました。

警備員さんに
「どうやって入ってきたんだ!なんで日本に帰るんだ!」
と聞かれ、わけがわからなかった私は、只ひたすら、

Because,my mother is die!!
I have to go back to japan, todaaaaaaaay!!!!

と、訴え続けていました。

i'm sorry.
ご冥福を祈るよ。(どういう英語だったか忘れたけれど)
同情してくれた警備員のお兄さん、ありがとう。


チェックインをしていなかったものだから、当然席は確保されて
いなかったのですが、
エコノミー席が満席だったのか、必死の懇願がきいたのか、
なんと、急遽ビジネスクラスで帰国することになりました。



きっとママの力だ・・・。


これから、葬儀の対応や、後片付けやなんやらで、忙しくて
休む暇がないことを見越して、空のベットを用意してくれたんだ・・

ほとんど眠れなかったけれど、横になれたので、ずいぶん助けれたことが後になってわかりました。

イギリスから、新潟。
それは途方もなく長い旅のように思えました。


お通夜には間に合わなかったけれど、私の到着を待っていてくれたたくさんの方。
そして、何よりも父が私を待っていて、必要としているように感じました。



人が死ぬということは、当時の私にとっては、
それはそれは、もうおそろしくておそろしいことで。

その日を境に、しばらくひとりで眠れない日々が続くことになりました。


人生初めての、おおきな死と向き合っているころ。
東京から、新潟の葬儀場まで足を運んでくださった、
会社の上司、いろいろと手伝いに来てくれた友達がいました。


それが、どんなに心強かったことか。


今夜は、私を思い出して頼ってくれた友達に、
3年前に私がしてもらったことを恩返しをする、そういう夜でした。

海外生活、海外勤務の長い友達。
連絡はいつも突然だけれど、

わたしを思い出して、頼ってくれたことが、本当にうれしかった。
ありがとう。



世の中は、こうしてつながっているんだね。
自分がしてもらったことを、別の誰か、それを必要としている人に返してゆく。
私にそれを教えてくれたみんなも、私を思い出してくれたあなたも、
ありがとう。


きっと、お父さんの魂も、肉体という乗りものをおりて、次の世界へ行くのだけれど、
お父さんはね、きっときっと、あなたの中に生きていて、
つながっているから。

お父さんの分も、一生懸命、生きよう。


もうすぐ新しい命も生まれるんだから、
パパ、しっかりね。

いつまでも、応援するよ。