石田明目線を戯曲風で。


【①別の居酒屋】

          ※石田がカウンター席で黙々と飲みながらパソコンでネタを書いている
          ※単独ライブが近いのでかなり必死な形相の石田
          ※時おり、ブツブツ言ってはニヤケたりする石田を周りのお客さんたちは変な目で見ている

石田の心の声「ぼくはあの日以来、単独ライブのネタを考える事で現実逃避に勤しんでいた」

石田「よし!書けた」

          ※石田はパソコンを仕舞い、本格的に飲み始める
          ※なにも考えないように一心不乱に飲む石田

男性客「おい!あゆみ!飲みすぎだって」

石田「ん?」

石田の心の声「あゆみ!?」

          ※声の方を見ると、そこにはまったく別人の「あゆみ」が酔いつぶれている

石田の心の声「焦ったー。そうやんなー。おるわけないよなー。ていうか、おったら終わるって!あかんあかん忘れろ忘れろ忘れろ」

          ※石田は芋焼酎を飲み干し

石田「すみません!日本酒2合ください」

【②梶剛の部屋】

          ※梶剛が石田に電話をかけている
          ※まったく電話に出ない石田

梶剛「・・・あいつ大丈夫か」

【③別の居酒屋】

          ※時間経過

          ※日本酒の徳利がテーブルに4~5本並んでいる
          ※酔いが回ってきている石田

石田「すみません、日本酒2合お願いします」

          ※テーブルの上で鳴っている携帯電話

          ※石田は携帯電話を見る

          ※が、石田の目線の映像は次第にボヤけていく
 
【④マンションの部屋のリビング】

         ※翌朝

          ※テーブルの上に開かれたパソコンとノート

          ※石田はそのテーブルに突っ伏して寝ている
          
          ※インターホンが何度もなっていて石田はようやく目が覚める

石田の心の声「あかん、飲みすぎた。後半全然覚えてへんわ」

【⑤マンションの1階】

          ※梶剛が何度もインターホンを押している

    ※ようやく出る石田

石田の声「はい」

梶剛「良かった。死んだかと思ったやんけ」

石田の声「死ぬかい」

梶剛「今のおまえはわからんやろ。とりあえず入れて」

【⑥マンションの部屋のリビング】

梶剛「なんぼ電話してもでーへんし、挙句の果てに直留守なるから焦ったわ」

石田「ごめんごめん、飲みすぎて記憶なくしてたわ」

梶剛「記憶なくすまで飲むな」

石田「ごめんごめん」

          ※テーブルに置かれたパソコンとノートを見て

梶剛「で、記憶なくしたのにネタ書いてたん?」

石田「そうみたいやな」

梶剛「どんだけストイックやねん」

石田「普段はそんなことないねんけど。ていうか、昨日金払ったかな」

梶剛「おまえめちゃくちゃ怖いこと言うな。おまえM-1チャンピオンやねんからしっかりしろよ」

石田「ごめんて」

梶剛「財布に領収書とか入ってないか」

石田「そやな」

          ※石田が財布を見ると領収書を発見

石田「あっ、ちゃんとお金払ってたわ」

梶剛「よかったー。気をつけろよ」

石田「ちょっと待って」

梶剛「ん?」

          ※顔面蒼白の石田がもう1枚領収書を取り出す

          ※その領収書には「あゆみ」が働くお店の名前が書かれている

石田「うそやろ?」

梶剛「おれのセリフや!え!?おまえ行ったん!?もう行かん言うてたやんけ!」

石田「行ってへんよ!っていうか言った記憶は1ミリもないよ」

梶剛「でも行った証拠はあるやんけ!」

石田「どうしよー!」

梶剛「知るか!え?なんも覚えてへんの?」

石田「なんにも覚えてへん」

梶剛「おまえ本気でやばいな」

石田「でも帰ってきてネタ書いてるってことは・・・」

梶剛「おまえフラれたんちゃうん?」

石田「やんなー!ぜったいにそうやんなー!そうでもなかったらベロベロでネタを書き換えたりせーへんよなー」

梶剛「完全に現実逃避やで。コレ見てみ」

          ※梶剛が置かれていたノートを見せる

          ※ノートには大きく「すべる=死」と書かれている

石田「やばいやばい。あの店でなにがあったんや!なにがあったんやーーーー!!!」

          ※石田の声に驚き木に登っていたヤドカリがポトっと落ちる




                         つづく