「笑い屋か!」

と突っ込みたくなるほどずっと爆笑している膝に、塩対応で階段を登っている。汗が目に入って痛い。こんなに塩分多めの汗だっただろうか。これが暴飲暴食による暴汗(ぼうかん)か。自業自得過ぎて意気消沈。笑止千万だ。ダメだ。疲れからか謎の四字熟語ブームが訪れている。

その四字熟語ブームが去り、「唇のちょっと皮めくれ始めてるところ歯で噛み噛み」ブームに差し掛かった頃、7階にたどり着いた。

とりあえずシャワーを浴びたい。

僕は最後の力を振り絞り、自分の部屋へと入った。嫁は病院に行っていていない。僕はシャワーを浴びるべくランニングウェアー一式を一瞬で脱ぐ。つもりだったがもともとランニングウェアーがピタッとしているのと汗ではりついてるのもあって全然脱げない。無理やり脱ごうとすると脚がつりそうになる。まったく終わらないすごろく状態だ。

やっとの思いで服を全部脱いだその時。


ピンポーン。


インターホンがなった。何故このタイミングなんだ。僕は今、汗だく全裸膝笑い屋状態なんだぞ。

インターホンを覗き見ると、宅配業者が大きな正方形の箱を台車に乗せているのが見えた。

そう言えば今日はウォーターサーバーの水が送られてくる日だった。はっとなり、部屋に置かれたウォーターサーバーを覗き見る。水が入っていない。これだけ汗をかいたのに水を飲めないのは危険だ。しかし僕は全裸だ。仕方あるまい。

僕はインターホンの「応答」ボタンを押し「はーい」とだけ声を発してオートロックを解除した。

僕はランニングウェアーを睨んだ。脱皮したばかりの皮のようだ。

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僕の八重歯が唇のめくれている皮を捕らえ、プチッと音を立てた。

つづく。


ほいでは。