クソみたいな話。
「なおちゃんさ、若いウチにクソみたいに辛い恋愛したら大人になる頃には強い大人になれるよ。」
って、クソみたいなガキの頃に綺麗な素敵なお姉様ににっこり微笑みながら言われた。
クソみたいなガキだったもんだから、
何でそんな事を言われたのかもわかんないし、
失礼ながら「姉さんのほうが酷い恋愛してるじゃないですか」なんて心の中で思っていたワケで
それに別に強い大人になりたくもなかったし好き好んで辛い思いしてるわけじゃないし。
でもその綺麗なお姉さんは本当に綺麗でかわいくて、
いつもミニスカート履いて谷間出してビールばっか飲んでぺろんぺろんに酔っぱらってて。
お気に入りのbarで朝まで飲んでて更にぺろんぺろんになっていて、
クソみたいな恋愛の話をされたのもきっとその店だったと思う。
そんなぺろんぺろんなのにその綺麗なお姉さんのお客様だけで店が埋まる事も少なくなく、
言わずと知れたNo.1だった姉さんの事を、
クソみたいなガキのアタシは近付きたくて追い越したくて、
どうしてそんなに皆に囲まれてるのかを知りたくて必死に仕事をしてた気がする。
今思えば焼きもちだし嫉妬だし逆を返せば目標。
そして絶対に越せない領域。
でも何とか越したくて。
無理なのわかってるのに、どうしても越したくて。
まぁ...可愛いもんだな、若い頃のアタシ。
今思い出しただけで恥ずかしいぜなんて
...そんでその綺麗なお姉さんを越せたかどうかって言ったら越せなかった。
時がたって姉さんは私の前から姿を消したし川反からもいなくなった。
私も独立して数年した頃に姉さんはこの世からもいなくなってしまったもんだから、
本当に越したくても越せない存在になってしまった。
それから更に数年。
追う立場から追われる立場になった私は、頑張れているのだろうか。
ただひとつわかるのは、
あの時、朝方酔っぱらった姉さんが言った通り、
クソみたいな恋愛を繰り返して来たアタシは、
本当に無駄に強くなっちゃいました。
そう言えばその姉さんの名前ってさ...あ、やめた。
アタシのクソみたいな話の中に、
大好きだった姉さんの名前まで書く事はないよね。
さてさて皆さん、アタシのクソみたいなお話にいつもお付き合い頂きありがとうございます。
このお話がフィクションかノンフィクションかは御想像にお任せしますわ。
さて、今宵は自分勝手に着物な予定。
今夜も皆様宜しくね。