こんにちは、無所属会派の野々村竜太郎です。
 本日、西宮市高須町の武庫川団地で火災の被害に遭われた皆様にお見舞い申し上げますとともに、西宮市消防局・消防団のご尽力に感謝いたします。
 西宮市民の代表として、第162号議案、調停の申立て案件、すなわち青野運動公苑県有地信託事業に関し、今後の処理についての協議及び通常の貸付年利と商事法定利率との差額相当分の支払いを申し立てる案件に対する反対討論を行います。
 なぜなら、調停は当事者同士の合意によって紛争を解決することを図ることを目的とするものであり、平成19年、三菱UFJ信託銀行及び住友信託銀行が県に対して訴訟提起した時点において信頼関係は破綻しており、合意によって解決を図るのが極めて困難だからです。
 昨年、本件信託事業立替金等請求上告事件判決の確定に伴い、105億4,070万4,000円もの巨額の企業会計の内部留保資金を借り入れ、直ちに支払いを行った案件に対して衝撃を受け、それに対する反対討論を行ったのは、巨額の負担に対して県民の皆様に対する心底からの謝罪であり、両行はもちろん、当局、議会を初め、自らの無力に対しても批判を行いました。
 それから年末年始を含め、わずか2ヵ月余りで、民間から選任された調停委員の持つ市民感覚を生かしながら、当事者全員の合意によって問題の解決を図ろうと本件を提案された当局の真摯な姿勢を評価するものの、提案される前にできることはなかったのでしょうか。
 そして、昨年、本件判決の確定に関し代表質問に対する知事の答弁で明らかなように、本件信託事業に関し、今後の処理についての検討が当局において十分なされないまま、本当に問題の解決を図ることはできるのでしょうか。こうして発言しながら、できるだけ県民負担を少なくし、早期に適切な青野運動公苑の管理・運営の方向性を決着できるアイデアはないものかと、知恵熱が出るほど悩んでいます。
 さらに、話し合いによって当事者間に合意ができ調停が成立すると、その合意は訴訟の場合と判決が同じ効力を持つことになる反面、当事者の一方が解決案にどうしても同意できなければ、調停は不成立になるという問題があります。
 提案された本件の内容から、県の真意は、違約金が発生しない本件信託契約の早期の終了及び通常の銀行の貸付年利と商事法定利率との差額相当分の支払いを求めることで、県民負担をできるだけ少なくし、かつ県民が身近で緑豊かな青野運動公苑において、文化・スポーツ・レクリエーション活動を行う場として、より一層、広く利用者に活用していただけるように、早期に適切な管理運営の方向を決定することであろうと推測いたします。
 そこで、両行の行員、取引先や株主に配慮する姿勢を示しながら、裁判所以外の場所で知事自らが直接、両行の代表者に率直に県民の窮状を訴えてみてはいかがでしょうか。前提として、当局の周到な準備や根回しが必要なことは言うまでもありません。県政と金融という違いこそあれ、県民、取引先との信頼がなければ、ともに成立しない業態であり、知事のユーモアあふれる知見、公益に奉仕する人柄、神戸・長田のみならず、兵庫、日本のヒーローである鉄人28号に負けない迫力と行動をもって、両行の代表者に信頼やきずなの大切さをご自身の言葉で気づかせるのも県のリーダーである知事の大切な使命だと確信いたします。
 何かと思えば、結局泣き落としかとのご批判を甘んじて受け入れる所存です。なぜなら、原則に基づき法則に従えば、私たち日本人は話せば分かる、情にほだされるというすばらしい伝統文化を持っているからです。
 最後に、改めまして県民の皆様に心よりおわび申し上げます。まことに申し訳ございません。
 議員諸氏の賛同を得るのは難しいとは重々思っておりますけれども、ただ一言、自分の言葉で県民の皆様の代表としての議員の使命を果たすため、反対に至る悩みや葛藤を県民の皆様に明らかにすることで、今後の当局や議会における政策過程に影響すれば最高であり、この野々村の心の叫びが当局の皆様や議員諸氏全員の心に届けば幸いです。
 以上、反対討論を終わります。まことにご清聴ありがとうございました。

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