前回のつづき。

子供の防犯について。


他の日。

娘が学校の帰り道に
友達女子と4人で歩いていると
老人ホームから
出てきたおばあちゃんが
「こんにちは~どこの小学校?」
と、話しかけて来たことがあったと。

そらそんなん普通にあるやろ、と
思うのだが、
防犯意識を極限にまで高められた
今の子たちには
ちょっとした事件のよう。


ある女の子は笑顔で挨拶をして
答えようとした。

でもある女の子が
「知らない人と話したらダメだよ!」
と遮った。

答えようとした女の子は
「おばあちゃんだから大丈夫だよ!」
と言い返し、
その場に居た女子たち
それぞれで意見が分かれ
「おばあちゃんはいいんだよ!」
「知らない人だからダメじゃん!」
と軽い口論になったと。

どっちもわかる。

帰宅した娘はそれを一通り説明した後
困った顔で
「ああいう時はどうしたらいいの?」
と聞いてきた。

「んんん?」
と腕を組む私に
更に質問する娘。

「『挨拶はしよう』
 と
 『知らない人と話したらダメ』
 どっちを守ればいいの?」


私は
そのままブリッジする勢いで
上を向いて

ううううーーーーーん!!!

とハッキリ唸り、

考えた結果

「まず挨拶は大きな声で返そう。
 そして近所の老人ホームから
 出てきた時点で
 その人はそこの住人という
 可能性が高く
 もしそうならば
 それは不審者ではなく
 『近所のおばあちゃん』なので
 少しくらい話してもいいのでは。
 しかし、
 近所の人ならこの辺りを歩く
 小学生の通う学校のことは
 知っているはずなので
 小学校を聞いてくるということは
 この辺りの人ではない
 ということも考えられる。
 もちろん最近そこに入居した人かも
 しれないが
 不審者という可能性もないとも
 言い切れない。」
 と、いう部分をはしょって…

「そういう時は
 挨拶だけ大きな声でして、
 あとは
 『すみません!』の
 一点張りで足早に去ろう」

と提案。

おばあちゃんはさすがに
ないだろうけど、
もし不審者だった場合
隙を突かれたら大変なので
挨拶しても決してヘラヘラ
立ち止まったりせず、
芸能リポーターを
かわす大女優のごとく
毅然とした態度で
『今は話せない感』をアピール、
でも話せないことを
申し訳なくは思っていますよ、
でもほら事務所がうるさいんで…
みたいなあの感じで!

と、いう熱いアドバイスが
心に届いたかどうかは
わからないが
娘は「わかった」と言った。

しかし何が正解なのか
私もいまいちわからないことも。

ただ、老人ホームから出てきた
おばあちゃんは
労りなさい、と教えたいのに
一応警戒せよ、とは
なんとも悲しい話です。

でも警戒心が高まっているのを
大丈夫大丈夫、と
緩めて行くのも不安。

とりあえず
おばあちゃんは大丈夫!で
いいのか。

もう後は
各大人も空気読んで
察するしかないですね。

もし子供に話しかけて
困った感じで無視されても
「けしからん!」
じゃなくて
こんな世の中なんだから
「あ、そうか
 学校で言われてるんだ」
と思わないといけない。


でも
子供への嫌な声掛けや
連れ去りを防ぐには
地域の大人の目って
本当に大事だと思うのです。

目の届かない住宅街の死角も、
住んでいる人達がちょっとだけ
意識するだけで
死角ではなくなり、
人の目のない死角を減らせば
犯罪がしにくい街になる。

一日一回でもいい。
洗濯物を取り入れるついでに
チラッとでもいい。

特に子供の下校時刻や夕方には
地域全体が
道往く子供たちの様子を見る。
変な人はいないか見る。

そんな
不審者が一番嫌う「人目」を
意識的に作ることで、
子供たちを守ると同時に
空き巣や性犯罪なども遠ざけ
皆が安心して住める街に
なるのではないでしょうか。

防犯ベルも
もちろん大事ですが
毎日どこかで遊びや誤作動で
鳴っているのを聴く昨今、
正直やや緊張感が
薄れてきてしまっているあの音に
大人がどこまで敏感になれるのか。

なので
何かが起こってしまう前に
まず犯罪をしにくい街にすることが
一番の『防犯』ではないかと…


あれ?

何これ

なんかこのまま
出馬してしまいそう…

でも、やっぱ
「お前ら早よ帰らんかい~」
という、うるさいおっちゃんや
「あら〇〇ちゃんどこ行くん?」
という、おせっかいなおばちゃんが
いる街も犯罪はしにくいと思うので、
私は不審者扱いされても
地域のうるさいおばちゃんを
目指してみようと思います。