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第1話

第2話

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第4話

 

---------これまでのあらすじ-----------

学校から帰って来るなり、
今度学校で友達と
コントをやることになったので
「コントの作り方を教えて」
と言う小2の娘…

本番は金曜日。

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娘がロボットコントを
引っさげ
登校した月曜日。

休み時間に
今回のコント発表会の
言いだしっぺリーダーのSくんが
コントメンバー6人を集め
それぞれの進捗状況を
確認したらしい。

娘はそこで
先日考えた自信作、
ロボットコントを皆に説明。

「ど、どうだった?」
反応が気になる私に
娘は平然と言い放った。

「超~ウケたよ」

「ほへー」

ナチュラルに出た
「ほへー」

ほへー
そうなんや!

…お母さんは
ちょっと色々
考え直さなあかん時期に
来てるのかもしれんなぁ…

軽くしょんぼりしていると
「それでね、
 皆ひどいんだよ!」
と憤慨中の娘。

なんと
ほとんどのメンバーが
「えーオレ別に何もしてないよ」
と、悪びれもせずに
答えたと言うのだ。

多分だが
小2の彼らのこと、

「コントやろうぜー」

「おーやるやる!
(なんか知らんけど)」

だったのだろう。

「なんか知らんけど
 おもしろそう」
小2の大好物だから。

そしていざ「コントやれ」
と言われても
何をどうしたらいいのか
わからない。

自分で考えて練習!
と言われても
無理無理!
サッカーも
ドッヂボールもやらないと
いけないし忙しい。

結果、
6人中3人が脱退。

理由は
「もーめんどくせー」

止める娘の言葉を聞かず
皆校庭に走って行ってしまった。

教室に残ったのは
娘の相方のAちゃんと
リーダーのSくん。

さすが言いだしっぺ。
Sくんは
当初から一貫して
バンビーノの狩りのネタの
踊りの「一部分」を
やると決めている。
それに揺るぎはない。

例え娘が
オリジナルコントを作ると
言おうが、
男子が「めんどくせー」と
全員抜けようが、
Sくんの
「人のネタの一部分のみを
やりたい情熱」は
決して揺るがないのだ。


ちょっとは揺るげ!


と思うが、
ここまでのブレなさは
もう男らしい。

校庭に行く皆の背中を見ながら
Sくんは娘たちに言った。
「オレはやるから」

私の脳内で
紡木たくの漫画の主人公風に
逆光な感じで再現される
Sくん。

かっこいい。
思わず
眩しい顔になる。

いや待てよ?

そら
人のネタの一部分やるだけやもん。
誰でもできるわ!

そんなんコントちゃうからな!
プチモノマネや!
いや、それで
もしバンビーノに似てへんかったら
モノマネでもないからな!

コントもモノマネもなめんなよ!

もし小堀やったら
コントとモノマネ本気で
やってる人全員に謝らすところや!

まず新宿ルミネの劇場行って
芸人に謝らせて
その後モノマネショーレストラン
『そっくり館キサラ』行って
謝らせて…
いや、それやったら
丸ノ内線で伊勢丹の出口から出て
先にキサラ行って
アルタ前通って
ルミネに行った方が効率が…

いやいや
そもそもその前に
小堀が後輩のネタの一部分だけ
やりたいって言い出した時点で
終わりや終わり!
良かった!
言い出してなくて!

「ママ?」

ハッ、そうだった。
娘の話だった。



以上のことを
お風呂で私に報告した後、
娘は燃える目で私に言った。

「メンバー減っちゃったから、
 あのコントやめて
 今からもうちょっと長いコント考える」

「今?」

そのまま、
娘はお風呂の中で
一気に思いつくまま
即興でコントのセリフを
しゃべり出した。



-----------------つづく----------------