たーちゃんことタスクくんは、いま4さい。あおばようちえんの年少さんです。


たーちゃんのかぞくは、パパとママとたーちゃんの3人かぞくです。
 おうちのそばにはパパのおじぃちゃんやおばあちゃんやおじちゃん、おばちゃん
3人のおねえちゃんやおにいちゃんがいます。
たーちゃんは、でんしゃがとてもすきです。でんしゃにのると、とてもこころが
わくわくします。
 それからその次にとってもすきなものそれは、くわがたです。
 ある日のことです。たーちゃんは冒険旅行にでかけたのです。
 大好きな電車にのって、くわがたむしをとりにいくことになったのです。
たーちゃんは、ひとり虫かごとあみをもってむぎわらぼうしをかぶりでんしゃに
のったのでした。
でんしゃは、どんどんたんぼやはたけをぬけて、川をわたり山の中に入っていきました。電車に乗っていた人達もだんだんおりてしまいたーちゃんはひとりになってしまいました。だんだんさみしくなってきて泣きべそをかきたくなりました。
 でも、たーちゃんは、男の子です。がまんしました。だって、だいすきな電車にのって
いるのだし、これからくわがたむしを取りにいくからです。
えきに、つきました。くわがた山えきと言うなのえきです。
 えきいんのおじさんが、ききました。
「きみは、ひとりできたの?」
「うん。」たーちゃんはこたえました。
「なにしにきたの?」
「くわがたむしをつかまえにきたの。」
またまたおじさんは、いいました。
「くわがたやまのくわがた神社の大きなくぬぎの木を見てごらん。きっといっぱいいるは ずだから。それからかえりのでんしゃは、あさの6時にでるからおくれないようにね。
それでは、いっておいで。」
「ありがとう。」たーちゃんは、おれいをいってくわがたやまのくわがたじんじゃをめざしました。
 そこには、大きなおおきなとてもことばではいいあらわせないほどの大きなくぬぎの木
が1本たっていたのでした。
たーちゃんは、そーとくわがたむしをこわがらせないようにちかづいていったのでした。
あなの中を見るとおおきなくわがた、それはきっとおとうさんでしょう。ちゅうくらいな
メスのくわがたそれは、おかあさんでしょう。そして、ちいさなちいさなようちゅうの
あかちゃん。まるで、たーちゃんのかぞくみたいです。
たーちゃんはかんがえました。このおおきなくわがたさんや、中くらいのくわがたさん
を、取ってしまったらあかちゃんのようちゅうさんは、きっとかなしくてかなしくて、
ないて、ないて、しんでしまうだろう。もし、ぼくだったら、パパとママとわかれわかれ
になってしまったら。そうかんがえるとたーちゃんはかなしくなってつかまえることが
できなくなってしまったのでした。
 まわりが、だんだん明るくなってきました。あさです。かえるじかんがもうすぐです。
たーちゃんは、とうとう1ぴきもつかまえることが、できませんでした。
くわがたさんのかぞくにばいばいをいって、えきにむかってあるきだしました。
1ぴきもつかまえられなかったけれど、たーちゃんは、とてもまんぞくです。
だって、たーちゃんだって、かぞくばらばらにわかれてしまうなんていやだからです。
 えきに、つきました。駅員のおじさんが、いいました。
「ぼうや、くわがたむしは、いっぱいとれたかい?」
たーちゃんは、くびをよこにふっていいました。
「ううん。でも、くわがたさんいっぱい見たしそれでいいの。くわがたさんもようちゅう
のあかちゃんとわかれさせるなんて、ぼくには、できないもの。」
 「ぼうや、きみはえらいね。」えきいんさんは、そう言うとあたまをなぜてくれました。
たーちゃんは、でんしゃにまたのりました。こんどは、来たときと反対方向です。
やまをぬけ川を渡りどんどんどんどん町にちかずいていきました。
たーちゃんのすむ町まで、もう少しです。
 やがて、電車は駅につきました。
 「たーちゃん!」パパとママの声です。
「おかえり、たーちゃん。どうだった?冒険旅行は」
 たーちゃんは、めをかがやかせていいました。
 「とても、とても、すてきなりょこうだったよ。」
「そう、そりゃあよかったね。」そういってパパは、たーちゃんをやさしくだきしめてくれました。そして、そのよこでは、ママが、ニコニコほほえんでいました。
 たーちゃんのぼうけんはここでおしまい、おひるねからさめたたーちゃんは、とっても
しあわせでした。