「伊藤くん、お仕事?この時間に歌番組

  やってるスタジオないよね?」

   キョーコの問いに勉はくすっと笑った。

  「歌手だからっていつも歌番組に出る訳じゃ

  ないよ。今日は『クイズ王選手権』にでるん

  だ。」

  「へえ、そうなの。うんうん、伊藤くん

  強そう。

  他のグループも出るの?『pearl』のSAKU

  さんとか。」

   キョーコの言葉に勉は驚いた。

  「最上さん、今日のニュース見てないの?
  
  『pearl』はうちの事務所社長の家族葬に

  歌手代表で参列してるよ。そういうの芸能人と

  して押さえておかないと駄目だと思うな。」

  「ごめんなさい…」

  「ちなみにお別れの会は9月だから参列

  したほうがいい。」

  「あ、ありがとう。」

  「もしよかったら一緒に…「あ!時間だわ。

  伊藤くんまた学校で!」

   慌ただしく去っていくキョーコ。

  「最上さん、照れ屋だなあ。そういうとこが

  奥ゆかしくていいんだよね。」

                 End