「へえ、派手に出てるね。同じ事務所
だから一緒に行動していてもおかしく
ないと思われると不味いなと思ったけ
ど。」
微笑む蓮の傍で凍り付くキョーコ。
「美人女優だなんてこんな嘘を…。皆さん
に素うどんのくせにとお叱りを受けるじゃ
ないですか。」
(…気にしているのそこ?)
「これで俺達は恋人同士だね。」
「あ…あくまで『恋人役』です。」
蓮の言葉をしっかり訂正するキョーコ。
「うん、最上さんでよかった。」
「/////」
「最上さん、連絡があって夕食会場には
マスコミが押し寄せているから各自の
部屋で食事を摂ることになったから。」
「そうですか。先ほど見たので判りま
す。温泉にも行けそうにないです。」
がっかりするキョーコに蓮は硝子戸
を指差す。
「温泉だよ。気持ちよかったよ。」
露天風呂を指差す蓮にキョーコは
顔を真っ赤にした。
硝子戸なので露天風呂に入れば
裸体を蓮に晒すことになる。
「何言ってるんですか///敦賀さん。
破廉恥ですよ。」
言った瞬間に蓮の全裸を思いだし
真っ赤になるキョーコ。
「見たいな。」
「え?」キョーコは聞き返した。
「最上さんの一糸纏わぬ姿を。」
「なっ////何を言ってるんですか」
抗議しようとしたキョーコは蓮の
謎めいた瞳に心臓が跳ねた。
「俺はいたって本気だよ」
「敦賀さん……。」
小刻みに震えるキョーコの肩を
見つめながら蓮は溜め息をついた。
「なーんてね。食事の前になにか
飲もうか?最上さんはノンアル
コールだね。オレンジジュース、
コーラ、ジンジャーエールどれが
いい?」
「オレンジジュースをお願いします。」
二人は部屋で食事を摂ったあと、
しばらく語り合っていたが、蓮が思い
たったようにキョーコに訊ねた。
「ベッドと布団、どちらがいい?」
唐突に訊かれ、赤くなるキョーコ
だったが、ハッと合点がいき、
「お布団で」と答えた。
蓮がベッドを利用しているのを
知っていたからだ。
蓮は客室係に電話し、布団を
敷きにきてほしいと頼んでいた。
「敦賀さん、布団なら私が…」
キョーコが断ろうとしたときに
客室係が「失礼します」と入って
きて和室に布団を敷き始めた。
「えっ…えっ/////ええっ!!」
素早く敷かれた布団は
二組。
「敦賀さん////あの?」
「一緒に休もうね。」
にっこり笑う蓮に凍り付くキョーコ。
「では、私はベッドで…」
「自分で布団がいいって言ったのに。
最上さん、意外と我が儘なんだね。」
「違っ…そうじゃないって敦賀さん
判ってるはずですよっ!」
「判らないなあ。グアムで一緒に休ん
でたじゃないか。」
「…………/////私、お風呂に行ってきま
す!」
「まだ、報道陣いるよ?」
「じゃあ、バスルームを使います!」
第7話に続く