Aスタジオの荷物置き場付近。
まさかと思ったが、暗いオーラを
醸し出し、蓮が頭を抱えて座っていた。
理由が判っているキョーコは
通り過ぎようとしたが、『ギシッ』と
音を立ててしまい、蓮に気がつかれた。
「やあ、君。」
蓮に声がけされてひきつるキョーコ。
「あ…オハヨウ…ゴキゲンイカガか
な。」
ロポットのように話すキョーコに
蓮はクスクスと笑う。
「気を使わなくていいよ。」
隣に座るように促され、腰かける
キョーコ。
坊の姿でも緊張しているキョーコ
に蓮は先に話題をふってきた。
「今日で最終回なんだろ？四年近く
頑張ったね。」
蓮の労いにホロッとするキョーコ。
「ありがとう。これからは着ぐるみを
脱いで俳優としてがんばるよ。」
「あてはあるのか？よかったら紹介
するよ。」
蓮の優しい言葉にキョーコは心配
ご無用というポーズをする。
「人のことより自分の事を心配しな
よ。ガセネタのことを想い人にどう
説明したらいいか思案してたんだ
ろ？大丈夫だ。彼女は事務所の後輩
で料理をしに来ているだけだと言えば
いい。」
キョーコは必死にさりげなく蓮に
アドバイスした。
「君にもそう思えた？彼女はラブミー部
の仕事で食事を作りにきて、本命は古賀
くんだと？」
蓮に見つめられてキョーコはドキドキ
する。
(…敦賀さん、何て言い方するんです
かっ////心臓がばくばくする。)
「いや、彼女は君や古賀くんと付き合う
ようなレベルじゃないだろ？『身の程を
知れ』『ブス』は序の口で、口にできな
いような言葉がSNSに並び、閉鎖したら
しいよ。」
蓮は坊(=キョーコ)の言葉にショック
を受けた。
「そう…なのか？彼女に連絡が取れなく
て。可哀想に。」
蓮の言葉にキョーコは大粒の涙を
流した。
「ううっ…」
「君？鶏くん？」
蓮は心配して坊(=キョーコ)の顔を
覗き込んだ。
「あ、最後かと思うと泣けてきた。
じゃあ、俺行くね。」
第４話に続く