キョーコはTBMに収録のため来ていた。
彼女には珍しく分厚い眼鏡、マスクを
し、ロングヘアのウイッグまで付けて
いた。
(…敦賀さん、古賀さん、バカショーの
ファンに見つかったら殺されちゃう。)
キョーコの自己防衛だった。
現場でも好奇の眼差しで見られ、
実際昨日のドラマの打ち上げは最悪
だった。
「京子ちゃん、その服の下にどんなハイ
スペック持ってるの？あの敦賀くんと
古賀くんが骨抜きなんてさ。」
ベテラン俳優がからかうと若手俳優
たちも話に乗ってきた。
「敦賀くんとは３年以上だろ？抱かれた
い俳優No.1を独占なんてすこいよ、
京子ちゃん！」
「ちが…違います！」
「いやあ、でも敦賀くんのマンションに
入っていくの撮られてるし、帰りは敦賀
くんが見送ってる。その30分後に古賀
くんとカフェで待ち合わせ、その後
居酒屋デート。
デジタル配信だから時間がはっきり
出てる。証拠は揃ってるよ。」
「でも、お二人とはお付き合いしていな
いです！！」
「判るよお。身体は繋がっていても心は
別の奴とか？不破尚とか意外と村雨く
んか？」
キョーコを庇うように隣に座っていた
村雨泰来を指差した。
「何で俺なんですか！」
村雨は不愉快そうにいい返した。
「村雨くん、京子ちゃんがすごいタイ
プって言ってたじゃん。」
「それは…//////京子ちゃん、こんな
酔っぱらい達、無視して帰ったほうが
いいよ。」
「はい…」
俳優達はふざけていたが、女優は
全員キョーコを無視していた。
キョーコは中学生時代のようだと
思った。
夜に椹に止めれていたSNSの閲覧
をした。検索キーワードは『京子』
そこに並ぶ言葉に絶句したキョーコ
は嗚咽を漏らした。
(…ダメダメ！今は最終回に向けて気合い
入れなきゃ。)
キョーコは鶏の着ぐるみを身につけ
た。
第3話に続く