キョーコが蓮のマンションに料理を
作りに行き始めて早３年。
「最上さん、今日もおいしかった。
送っていきたいけど、飲んでしまって。
泊まっていかないか？」
蓮はさりげなく誘った。
「いえ、明日も撮影ですのでタクシーで
帰りますね。」
蓮に会釈をしてタクシーに乗った
キョーコはドライバーに自宅から行き先
を変更した。「すみません、カフェF
まで。」
「お料理作り終わったの？」
待っていたのは古賀。
「はい。」
「今日も告白されたりとか手を
出されたりしてないんだろ？」
「…………」
「片想いも拗らせると悲惨だね。
判ってるんだろ？脈がないって。
止めればいいんだ。」
「…………」
「とにかく飲みにいこうか。毎回、
敦賀くん宅の後っていうのがむかつく
けど、京子ちゃんなら許す。」
「すみません。」
数日後。
「スクープ！京子二股疑惑！
何と相手は抱かれたい俳優敦賀蓮
と古賀弘宗！！」
テレビ、雑誌は連日、取り上げ
キョーコの各種SNSは炎上し、
LMEには抗議が殺到した。
LME役員室。
キョーコはローリィと椹に詰問され
ていた。
「最上さんは、不破くんだろ？何で
蓮や古賀くんなんだ。」
「「えっ？！」」
椹のとんちんかんな質問にキョーコ
とローリィは驚く。
「椹くん、何年前の話だ。最上くんの
想い人は蓮だ。なぜ、古賀くんに乗り
換えた？」
単刀直入に聞かれ、キョーコは声高
に叫ぶ。
「敦賀さんはもちろんのこと、古賀さ
んともお付き合いはしていません！」
「最上さん、そんなこと世間には通用
しないよ。写真が撮られている。
同日に蓮と古賀くんと密会。３年前
には蓮と不破くんだ。君が二十歳に
なったことで取り上げられてしまっ
た。これはアカトキが揉み消したそう
だね。俺は、にわかに信じられない。
説明してくれないか？」
悲しげな椹にキョーコは泣きたい
気持ちだった。
「すみません！でもお二人とは
お付き合いしていません。」
「蓮に告白したらどうなんだ？」
「敦賀さんには別に好きな方がいら
っしゃるので、そんなことはできませ
ん！」
「では、最上さん、古賀くんと付き
合ったらいいじゃないか？」
椹がアドバイスする。
「古賀さんは相談相手でお互い恋愛
感情はありません！」
キョーコが会釈して部屋を出ていく
とローリィと椹は溜め息をついた。
「最上くんは変わらんなあ。」
「そうですね。」
「男ども振り回して大したもんだ
なあ。あの曲解思考。ああいうの
何て言うか知ってるか？」
「小悪魔ですか？」
「ビンゴ！しかしなあ、そろそろどう
にかしてやらんとな。蓮に告白のチャ
ンスを与えてやろう！」
「？」
「椹くん、あれ来月最終回だった
な。」
「まさか、アレですか？そ…それは」
「決まりだ！」
第2話に続く