「んああっ…敦賀さん…もうダメ…」
「蓮って呼んで…もう少し…頑張れる？」
「む…無理で…す…あああ…んっ」
キョーコは意識を失った。
京都撮影所
「はい、カーット！OKです。」
監督の合図でキョーコは歩きかけたが
ふらついて倒れそうになり、古賀に
抱き止められた。
「京子ちゃん！」
「す…すみません。」
「立ってるのがやっとなんだろう？
こんなに目の下にクマだして。」
古賀は親指でクマをなぞった。
「古賀さん…////」
「いくらハイビジョン対応ファンデー
ションを塗ってもこの黒いクマは画面に
くっきりだね。君の彼氏には呆れるよ。
撮影中の彼女を週末に呼びつけて寝かせ
ないって有り得ないよ。彼がこちらに出
向くとか休養日を設けるとかできない
の？」
「……………。」
「今日、社さんきてたよね。」
「えっ、あの、古賀さん、まさか！
止めてください！！」
慌てるキョーコをよそに古賀は
社めがけて歩き出した。
キョーコの所にはメイク係と千鳥役
の朝比奈が現れた。
「京子さん、意外とお盛んですね。」
「えっ？」
「噂になってますよ。歌手とお付き
合いしてるって。」
「ええっ？！(…ショータロー？)」
朝比奈の言葉にキョーコは心底
驚いた。
「マッチョが多い人気グループの一人
とか。私、ファンなんですよね。誰か
紹介して貰えませんか？私、京子さん
と違って体力には自信あるんです
よ。」
ウインクする朝比奈。
「？？？」
LME役員室
社に詳細を聞かされた社長のローリィ
と俳優セクションの責任者松島は半ば
呆れて話を聞いていた。
「つまり、盛りのついた動物が如く
最上くんに襲いかかって離さない蓮を
どうにかしろというのか？」
ローリィに問われ、頷く社。
「お恥ずかしい話…そうです。」
「松島くん、あの仕事入れるか？」
ポツンとローリィが切り出す。
「あれですか？スペインの美術館開設
200周年(※1)記念番組。」
「ああ、あれなら蓮はずっとスペイン
だ。」
「しかし、蓮行きますか？仕事詰まって
いるし、京子ちゃんと離れたくないで
しょうし。」
「スケジュールは社が調整するし、
後日、最上くんもそっちにいかせると
言えば喜んでいくだろうよ。」
「名案ですね！」
ご機嫌なローリィと松島を見つめ
ながら社は浮かなかった。
憔悴しきったキョーコを慰める
古賀に一抹の不安を感じていたのだ。
(…蓮があそこまでキョーコちゃんに執拗
なのは古賀くんと共演中だから。離れば
なれにしておいて大丈夫かなあ。)
End
※１ 終了しています
しょうし。」
「スケジュールは社が調整するし、
後日、最上くんもそっちにいかせると
言えば喜んでいくだろうよ。」
「名案ですね！」
ご機嫌なローリィと松島を見つめ
ながら社は浮かなかった。
憔悴しきったキョーコを慰める
古賀に一抹の不安を感じていたのだ。
(…蓮があそこまでキョーコちゃんに執拗
なのは古賀くんと共演中だから。離れば
なれにしておいて大丈夫かなあ。)
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