「京子ちゃん、事務所に許可もらった？」
「あの/////」
キョーコは口ごもった。
「やっぱりね。」
貴島は苦笑した。
「敦賀くんがお忍びで密会のバーを
見たいなんて京子ちゃんらしくないね。」
貴島の言葉にキョーコは顔を紅潮
させた。
「すみません！！どんなところなのか
見てみたくて////」
貴島はキョーコを見つめた。
リクエスト通り大人美人でやってき
た。メイクをしっかり施したキョーコ
はうっとりするほど美しい。
「別に非難してるわけじゃないから。
大人っぽくて23歳くらいに見える
よ。とても綺麗だし、役得だな。」
「ありがとうございます。」
「でも、ソフトドリンクにしてね。
俺、捕まりたくないから。」
「ふふ。私、飲めませんから。」
「へえ、珍しい。」
二人は談笑していたが、貴島はある
人物に気がつく。
「古賀くん！」
古賀は貴島に呼び止められ、微笑み
かけたが、キョーコの姿に気がつくと
顔を強ばらせた。
「やあ、貴島くん！久しぶり。京子
ちゃんとはさっきまで読み合わせ
だったから一時間ぶり？いいの？
こんなとこ来て。」
口調がとげとげしい。
「あっ、あの…ジュース飲んでます
から。」
キョーコはグラスを持ち上げた。
古賀はキョーコをみつめた。
「敦賀くんじゃないんだ…。」
呟くように言った。
「弘宗！私、先にいってるわよ。」
長身のモデル風の女性が不機嫌
そうに古賀に声をかけて立ち去った。
「京子ちゃん。お子様は早く帰って
明日の準備をしたほうがいいね。」
古賀は冷ややかに言った。
「はい…お疲れさまです。」
「怒られちゃいました。古賀さん、
私が目障りみたいで現場でも意地悪
言うんです。」
「ふうん。」
貴島はキョーコの言葉が不思議
だった。
確かに古賀くんは敦賀くんを
目の敵にしていてキョーコちゃんは
同じ事務所だ。
しかし、フェミニストの彼は
女性に優しい。
一人ぽっちでいる娘をみると
声をかけて仲間にいれてあげる
タイプだ。
嫉妬？
「敦賀さんも古賀さんも彼女さん
綺麗ですね。私なんかが女優をして
いるの恥ずかしいです。貴島さん、
付き合っていただきすみません。」
いやいや、一番綺麗なのは京子
ちゃんだと思うよ。
敦賀くんの想い人でなければ
積極的にアプローチするんだけどな。
本当に残念。
End