蓮と人気を二分する古賀弘宗。
抱かれたい俳優No.2だ。
美形で演技力には定評があり、上背
が蓮と同じだったら古賀のほうが上と
密かに言われている。
彼の悪いところはそれを口に出して
言うところだ。
一方的に敵対心を燃やし、勝手に
共演NGを出している面倒くさい俳優。
『泥中の蓮』は先に蓮に話が来ていて
スケジュールの関係上、断った。
まさか、古賀くんが受けるとは思わ
なかった。
貴島くんあたりかなと…。
古賀くんは剣道を習っていて、殺陣
には定評がある。
やりたかった役なのだろう。
彼がキョーコちゃんに興味を持って
いると伝え聞いている。
心配だな。
「珍しいですね。古賀くんがバラエティ
に出るなんて。」
蓮がぽつんと言った。
確かに。キョーコちゃん何処なんだ。
その時、ステージ上の古賀くんが
Vサインを送って来た。俺達に向か
って。
ステージ上のブリッジロックや
観客も一斉にこちらを向いた。
「まさか…もしかして…敦賀蓮？」
ざわめく会場。
その時、ステージ上の『坊』が
小道具の卵形カプセルを籠から
こぼした。
「あああっ！」
慌てる『坊』
すると、古賀がカブセル屈んで
拾い、『坊』に渡した。
「ドジな雄鶏くんだね。京都に
修行に来る？」
セクシーな笑顔を向けた。
キャーと会場から歓声があがる。
『坊』は最初、ボーッとしていたが
すぐにおどけたポーズを見せた。
「大丈夫？」
ブリッジロックのリーダー光が
心配して耳打ちする。
頷く『坊』
「さあ、最初のコーナー！」
卵形カプセルを古賀に選んでもらう。
そこには質問が入っていた。
「好きな女性のタイプは？」
古賀はちらりと『坊』を見ると
話始めた。
「う～ん。難しいですね。俺は外見に
はあまりこだわらないかな。内面の美し
さというか、役者ですから演技で魅了
する女性が好きですね。」
「意味深ですね。意中の女優さんがいそ
うですね？」
古賀はそれには答えず、『坊』の手を
取った。
「好きだ。」
古賀の言葉に会場から悲鳴が上がる。
「古賀さん、冗談好きだなあ。次のコー
ナーにいきますよ。」
光は慌てて巻いた。
『坊』はふるふると震えていた。
「蓮、もう行くぞ。」
社は蓮に声をかけた。
蓮は『友人』をもっと見ていたかった
ようだが、会場に自分達の正体がバレて
いるから長居は無用と話したら納得して
席を立った。
『坊』の正体にはまったく気がついて
いないようだ。
ある意味よかったかも知れない。
あとはキョーコちゃんと一緒に古賀く
んが来ないことを望む。
End