俺は敦賀蓮のマネージャー社倖一。
蓮と事務所の後輩キョーコちゃんのスケ
ジュールを調整して蓮の初恋を温かく
見守っている。
キョーコちゃんが京都ロケ中にも関わ
らず、必ず帰ってくる曜日に蓮と共演
するようにスケジュールを組んでいる。
今日がそうだ。
演技について談義する番組に二人を
組み込んだ。
お互いの演技に対する真摯な姿勢を
改めて確認するのもいいんじゃない？
なーんてね。
「敦賀さん、お疲れさまでした！大変
勉強になりました！」
キョーコは蓮に挨拶した。
「最上さんの探求心にはいつも驚かせ
られるよ。」
蓮は神々スマイルを浮かべた。
(…うんうん。いいじゃないか。)
社は頷いたが、蓮の次の台詞に驚く。
「俺、今日はこれであがりなんだけど、
社さんと３人で夕飯食べないか？」
(…蓮くぅん！雑誌のインタビューどう
したの？また、明日、殺人的スケジュー
ルかっ。)
「あのっ！私、これからお仕事がっ」
キョーコちゃんが慌てる。
(…そうだね。キョーコちゃん、実は
トップシークレットの仕事がある。
俺はうすうすわかってるけど。)
社は一人頷く。
「そうか。送っていくよ。」
蓮の言葉にキョーコは慌てる。
「それは////着替えたり、いろいろ準備
かあるし、自分のペースで…」
支離滅裂なキョーコの言葉に社は
失笑するが、蓮はムッとしていた。
「何時に終わるの？」
「えっ？」
「待ってるから。」
凍り付くキョーコと社。
ここで待たれたら困る！ここで収録
なんだから！
「蓮！俺、キョーコちゃんと待ち
合わせ場所決めてくるから先に車に
乗っててくれるかな。」
社は促す。蓮は不満気だが
頷く。
蓮が駐車場に向かうのを見届けると
社は話を始めた。
「キョーコちゃん、蓮を事務所に
待たせておくからゆっくり仕事して。
後で迎えに来るから。」
「はい！ありがとうございます。」
元気に返事して走り去るキョーコ。
ホッとする社の背後から…
「社さん…」
ボソっと低い声が…
「ひいっ、蓮！駐車場にいって
なかったのか。」
「向かいましたが、公開録画の案内を
見たら友人の名前があったので、見に
行きたいと思いまして。」
「誰？」
社は身が凍る思いで、蓮と座ってい
た。
一般客と共に公開録画の会場にいた。
二人でサングラスと帽子を被っていた
が、自分はまだしも蓮はバレている気が
するのだ。
ちらっ、ちらっと熱い視線で、
こちらをみている観客が幾人かいる。
それにしても超満員だ。若い女性
だらけ。今日のシークレットゲスト
誰？まさか不破くんじゃないよな。
いよいよ番組が始まった。
「皆さん、今晩は！！ブリッジロック
です！今日も楽しんでね。」
LMEが誇る人気タレントだ。
「そしてアシスタントの『坊』！！」
ずんぐりむっくりの雄鶏が現れる。
いまや着ぐるみ人気No.1で、蓮の
友人らしい。
よく相談事をしているらしい。
ホントに蓮…友達少ないな。
それにしてもキョーコちゃんいない
なあ。
この番組に出ているはずなんだけど。
もしかして裏方？！衣装とか料理の。
「本日のゲストは『泥中の蓮』主演
古賀弘宗さん！」
「「「「きゃーっ！！」」」」
ええっ、古賀くん！京都じゃないの？
まさか、キョーコちゃんを追ってきた
の？
なんか黒いオーラが…
隣を見るのが怖いよ。
キョーコちゃん、どこにいるの～？
後編に続く(明日❗)