俺の友人は人気俳優が多い。
そして全員片想い中(笑)
敦賀くんは京子ちゃんにずっと想いを
寄せながら、なぜか告白しない。
抱かれたい俳優No.1なのにさ。
理由は不明だ。
村雨くんはハリウッド映画に出演した
際に出会った「雪花」という娘が好きに
なったが、兄がシスコンで近づけないと
こぼしていた。
その兄妹の体型が敦賀くんと京子ちゃん
みたいだ。探る余地ありだね。その時期、
確かに二人はいなかったな。
敦賀くんに至っては時差ボケだったのか
珍しく酔っぱらってワイドショーの餌食に
なってた。
そして古賀くん。
本人は完全否定しているが、共演女優
たちから京子ちゃんのこと好きみたいと
訊いた。なんでも小学生のように好きな子
いじめしてるとか。適度に女の子と遊んで
るけどあいつから好きなんていう台詞聞い
たことないなあ。いわせてみようじゃない
か。ついでに京子ちゃんに京都観光を頼も
うっと。
「何しに京都に来た？」
古賀は迷惑そうに貴島に訊いた。
その一言で貴島はピンときた。
SNSで『DARK MOON』の打ち上げ
シーンみたなと。
「古賀くんと飲みに行きたいからに
決まってるじゃん。ロケが長くて
たまには祇園に繰り出したいんじゃ
ない？」
貴島の言葉に古賀は溜め息をつく。
「連れていくから明日にはさっさと
帰ってくれよ。」
「はいはい。」
「あ、貴島さん。こんにちは。
どうしたんですか？ドラマに今でて
ますよね？」
おっ、ターゲット登場！黒の編みタイツ
姿がたまんないなあ。ちらりと貴島は
古賀の様子を伺う。
さすがに平静を装ってるけど、右手
握りしめたね。
「一昨日、打ち上げでいまオフ。京子
ちゃんに京都案内してもらおうと…」
「京子ちゃん、もうすぐ本番だよ。行っ
て。」
古賀が貴島の話の腰を折り、キョーコに
現場に戻るように促す。
「すみません！貴島さん。また、後
で。」
立ち去ろうとしたキョーコを古賀が
止めた。
「ちょっと待って！京子ちゃん、紐が
緩んでる。それでは後ろの刀が落ちる
よ。それから化粧が濃いな。折角の色白
が台無しだ。アイシャドウを少し落とし
てアイラインを濃く引いてもらおう。
それでクールな感じになるから。」
古賀は自ら紐を結び直し、メイク係
を呼んで直させた。
「うわっ、すごいな。すごい入れ込み
よう。」
貴島が呟くと一人の人物が現れた。
「そうだね。すごいよ、彼。」
「社さん！」
やって来たのは蓮のマネージャー社。
(…何で敦賀くんのマネージャーが京都
に？敦賀くんドラマに出てるのに。
あ、そうか社さんにボディガード
させてるのか。)
貴島は得心した。
「古賀くん、自分では気がついてない
けど京子ちゃんに夢中だね。」
せっせと世話を焼く古賀にクスッと
笑う貴島。
「そうだね。そして京子ちゃんは古賀
くんに信頼を寄せている。」
社の言葉に貴島はハッとする。
キョーコは頬を染め、真っ直ぐに
古賀を見ていた。
(…嘘だろ。敦賀くん大ピンチじゃん。)
End