「殿のおなりにございます。京子さま。」
奥女中に告げられた京子は顔をしかめ
た。
「お断りせよ。体調がすぐれぬ。」
「ならぬ！今夜こそ付き合ってもらう
ぞ！」
「殿！」
「そなたらは下がれ。」
敦賀家当主蓮之丞は奥女中達を下がら
せた。
急ぎ、立ち去る奥女中達。
「殿、体調がすぐれませぬ。」
京子は上目づかいに蓮之丞を見上げた。
蓮之丞は手で口許を押さえ、視線を
泳がせた。
「日を改めてはいただけませんか？」
京子は哀願した。
「ならぬ。そなたと婚礼を挙げてはや
二月。真の夫婦になりたいのだ。」
蓮之丞は京子を抱き締めた。
「お離しください。殿！破廉恥で
ございます。」
京子の言葉に 蓮之丞は激昂する。
「破廉恥？破廉恥とはこういうこと
だろう！」
蓮之丞は京子の胸元に手を入れる。
「いやああああっ。」
キョーコはばったりと倒れた。
「カーット！何度中断すればいいんだ！
胸元に手を入れただけで。蓮、胸を触っ
たりしてないよな？」
監督は運ばれていくキョーコを呆れ
ながら蓮に訊ねた。
「まさか。」
「そうだよな。温厚紳士の蓮がそんな
ことしないか。」
監督は納得したように頷いた。
蓮は肩を竦めた。
(…ちょっと胸を揉んで蕾に触れたけど
ね。あと、5回くらい続けたら慣れる
だろう。)
End