グレイトフルパーティは宝田家の都合で
本日12月24日21時で終了となる。
通常は引き続き、翌日のキョーコの誕生
パーティが行われていたが、今回はない。
そもそもメインはマリアの誕生パーティ
で自分のはおまけなのだと割りきる
キョーコだったが、一抹の寂しさはある。
奏江はハリウッドでデビュー作を撮影
中だし、千織はバラエティの正月特番に
参加中、だるまや夫妻は馴染み客の好意で
チケットをプレゼントされて船旅に出てい
た。
キョーコの呼びたいひとはいない。
「彼」を除けば。「彼」はマリアが
招待し、毎年欠かさず来ていた。
23時頃に…。
お開きが近かったが、「彼」は来て
いない。
そして21時。
主催者のマリアとキョーコは招待者を
見送る。
「マリアちゃん、あとは私が片付けておく
わ。」
キョーコはマリアに笑顔をみせ、父
皇貴、祖父ローリィと帰るように促す。
「お姉様、ごめんなさい。パパとお祖父
様がネズミーランドを貸し切りにして
くれて…お姉様のお誕生会できなくて
ホントにごめんなさい。」
マリアが申し訳なさそうに話す。
「いいのよ。家族で楽しんできてね。」
キョーコは満面の笑顔を浮かべて
マリアを見送った。
「さて、片付けるか」
カランとしたパーティ会場で呟く。
キョーコはドレスの上からエプロンを
纏った。
テーブルの食器を厨房に運び、手早く
洗い始めた。
「こんなところかな。戸締まりして帰ろ
う。」
エプロンを畳み、帰り支度を始めた。
(…こなかったなあ…)
キョーコは溜め息をついた。
あと数分で25日。
誰にも祝ってもらえない誕生日。
クリスマスと一纏めは子供の頃は
慣れっこだった。
ここ数年は奇跡だったのだ。
25日0時になると差し出されたプリン
セスローザ。
トップ俳優で「抱かれたい俳優No.1」
の彼にプレゼントされるなんて有り得
ないことなのだ。
(…分をわきまえないとね。)
キョーコは自分を諌めながらいつの
間にか涙を流していた。
頬を伝う涙は途切れず、嗚咽を
漏らし始めた。
「うっく…ひく…」
キョーコはしゃがみこみ、顔を
覆って泣いた。
「どうして泣いているの？」
その声を聞いてキョーコはピクッ
とした。
「君の誕生日をお祝いに来たのに。」
「彼」は優しく声をかけた。
「敦賀さん！！」
後編につづく
