「私、次第ですか?」
「うん。」
「私が女優としてダメダメで、心配だか
ら行けないということですか?」
「いや、そうじゃない。君はいい女優に
なったよ。」
「では、敦賀教の布教活動がいまいち
と?」
「全然、違うから!他に思い付かない
かな。もっと君と俺のプライベート
なことで。」
蓮は少しいらっとしながら促した。
キョーコは暫く考えていたが、「はっ」
とした。
「まさか…まさか////」
「ん?」
「「最低ですね」を気にしています
か?」
蓮はガックリ肩を落とした。
「違う…いや、その通りだよ。理由を
聞かせて欲しいな。」
蓮は腕組みして続きを促した。
「あれは…だからおかしいんです!
男性が女性に指輪を嵌めるという
行為は、結婚式でのみ行われるの
です!」
「……………ぷっ」
「敦賀さん、いま笑いましたね。」
キョーコは蓮を睨み付けた。
「いや、笑ってないよ。そういうこと
か。たんぽぽリングであっても例外では
ないんだね。」
「ば…馬鹿にしてますねっ!指輪を嵌め
るということは神聖なことなんですっ
///敦賀さんのように誰にでも嵌めるひと
にはわからないんです!!」
キョーコの言葉に蓮は不愉快さを
隠さなかった。
「何それ。俺が誰にでも?心外だな。
そんなことしないけど。」
「隠したってダメですよ。知ってるんで
すから。」
「どこから聞いてきたガセネタか知らない
けど真に受けてほしくないな。俺は女性
に指輪なんて買ったことがないんだか
ら。」
「へ?」
「最上さんになら買いたいけど。」
「な…何いってるんですか/////」
「本当だよ。君に婚約指輪を買いたい
んだけど、貰ってくれる?」
蓮は神々スマイルを浮かべながら
キョーコに訊ねた。
キョーコは呆然として立ち竦んで
いた。
「最上さん?」
蓮に声がけされ、キョーコはハッと
して叫んだ。
「からかうのもいい加減にしてくださ
い!敦賀さんが私に?そんなあり得ない
こと言うのやめてください!」
キョーコは号泣していた。
「からかってない!俺は最上さんを愛し
てるんだ!」
「え?」
驚くキョーコを蓮は抱き締めた。
「君と将来の約束をしないと心配でハリ
ウッドに行けない。」
「敦賀さん////」
「最上さんは俺のことどう思ってる?
ただの先輩としかおもってないだろう
けど、嫌いでなければ…「好きで
す!!」
キョーコは顔を真っ赤にしながらも
はっきりと言い切った。
「私は敦賀さんをお慕いしています。
この気持ちは一生言わないつもりでした
が…」
言葉は途中で途切れてしまった。蓮が
キスでふさいでしまったから。
「夢のようだ。最上さんが俺を好きだ
なんて。」
蓮は嬉しそうにキョーコを見つめる。
「安心してハリウッドにいけそうです
か?」
キョーコが恥ずかしそうに訊ねた。
「行かないよ。」
蓮の返事にキョーコは驚く。
「へ?」
「だってさ。スケジュール3年埋まって
るし、アールマンディとの契約で年3回
向こうに数ヶ月いかなきゃないし。」
「はあっ?!私を騙したんですかっ!」
「君を想う気持ちは本物だよ。」
「狡い!わかりましたよ。この騒動は
社長と仕組みましたね?」
「…………」
「もうっ!やっぱり敦賀さん、最低で
すっ!」
End