「敦賀さん！」
キョーコは叫んだ。
「一人でウロウロしてたら危ないよ。
駐車場に迎えの車が来ているから
一緒に帰ろう。」
蓮は微笑んだ。その瞬間、怨キョが
にょきっと現れた。
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「蓮。１週間、日本に戻っていい
ぞ。」
監督の言葉に蓮は耳を疑った。
「どうしてですか？！今、撮影は
佳境に入っていてそんなことできる
はずない…」
「そうだな。しかし、蓮。お前は
ピンチなんだろ？」
「？」
「恋人が別の男にとられそうなんだろ
う？」
その言葉に蓮は顔を紅潮させた。
「俺に恋人なんていませんよ。」
「ああ、思い焦がれている娘か。」
「…………(琴南さんだな。)」
「向こう(LME)と連絡をとった。
彼女のオフは１日しかない。その
１日で彼女を口説き落としてこい。」
「はい！！」
元気よく返事したものの俺には
自信がなかった。
最上さんから数ヶ月連絡がない。
琴南さんとの番宣用のゴシップに
「おめでとうございます」なんて
メールしてきてそれっきり。
最上さんは多忙を極めていたが
映画、ドラマの共演のほとんどが
古賀くんだ。
日本には主演級俳優がいくらで
もいるのに彼ばかり。
嫌だが、貴島くんや村雨くん
だっていいだろう！
『森住組』に入ってしまった
ため監督のお気に入りである古賀
くんとの共演が増えてしまった。
いまさらだか、「泥中の蓮」の
志津摩役を社さんが断らなければ
などと思ってしまう。
絶望感の中、俺は日本に帰国
した。極秘のはずだったが、空港
の大勢の出迎えに絶句する。
何故だ？！事務所はどういう
つもりだ。
そんな中、俺は大切な人を見つ
けた。
変装はしているが、間違いない。
最上さんだ！
後編に続く