敦賀さんがお花のリングを嵌めてくれた。
夢のような信じられない出来事。
私は全身が震えた。
「どうぞ。」
微笑む敦賀さん。
私も微笑もうと思った。
彼にとっては他愛もないこと。
でも、私にとっては…。
嬉しいけど残酷過ぎる…。
バレンタインデーのお返しすら
貰えなかった後輩の私にはあまりにも。
「最上さん?」
名前を呼ばれて腕を押さえられる
まで涙が頬を伝っていたのに気がつか
なかった。
「それは嬉し涙?」
「………………。」
私にも、何故涙を流したのかわからな
かった。
「沈黙は肯定だよ。」
敦賀さんはそう言いながら唇で涙を
掬ってくれた。
「どうして?」
私は思わず、敦賀さんを見上げた。
「君を愛しているから。」
神々スマイルを浮かべながら彼は
告白した。
End