「キョーコ、禁酒したの？」
奏江に訊かれてキョーコは恥ずかし
そうに頷く。
「あんな嬉し…いえ、大失態を起こし
たので飲むときは家で…ホントに家でも
同じ事を何度も起こして敦賀さんにご迷
惑をかけてます。」
(…詳細を教えなかった上にまだ、薬を
盛りつづけてるんだ。)
奏江は驚きを禁じ得ない。
数日後
奏江は撮影所に行くと現場スタッフの
噂話に耳を止める。
「さすが、抱かれたい男No.1だよ。休憩
中でも楽屋で京子ちゃんとシてるんだよ
な。」
「わかるわかる。俺、仕事柄、耳いいか
らさ、京子ちゃんのおし殺したあえぎ声
聞こえちゃうんだ。」
「俺なんかその日ごとの激しさわかる
ぜ。畳に京子ちゃんの足が擦れる音が違
うんだ。今日は敦賀蓮乗りに乗ってる
なって。」
「その上、ラブシーンすべて本番だし、
家でも多分朝までで、京子ちゃんぐっ
たりだな。」
「よく受け入れてるよな。婚約中とはい
え。意外と早く妊娠したいとか思ってる
ぜ。」
「いえてる。シなくていいからな。はは
はっ。」
苦笑していた奏江だったが、急に
青ざめた。
「俺と京子のことで何か？」
後ろに仁王立ちしていたのは蓮だった。
「「ひええええっ、大魔王？！」」
End
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