「特別な君に特別な薔薇を」
セドリックは恭しくキョーコに手渡し
た。
「ありがとうございます/////」
キョーコは嬉しさに顔面崩壊した。
「キザなヤローだぜっ！」
泰来が苦々しげに吐き捨てた。
「京子をお預かりします。」
微笑むセドリックにクーとジュリエナ
は複雑な微笑みを浮かべる。
「Mrs.ジュリエナ。俺たちも出発します
よ。」
蓮はジュリエナに声をかけた。
「そうね。私達の方が出発が先ね。
じゃあ、ショーを楽しんでね。」
ジュリエナは蓮と出発した。
「京子、俺たちも出発しよう。」
セドリックが腕を差し出し、キョーコ
は手を添えた。
「泰来、私達も出発しよう。男同士も
なかなかいいぞっ！」
「はあ…。」
ショー会場の美術館まで、レッドカー
ペットが敷かれ、ショー参加者以外の
入場者は皆、レッドカーペットを歩い
た。
キョーコはセドリックにエスコート
されて初めてレッドカーペットを体験す
る。
無数のフラッシュに気後れするが、
英語が堪能なキョーコはインタビューに
丁寧に答えた。
その後ろをクーと泰来が歩いていたが
クーへの歓声は凄まじい。
「「「クー！こっち向いて！」」」
クーはにこやかに手を振った。
「さすがはクーだね。」
セドリックが感心する。
「セドリックさんもすごい人気で、私ま
でインタビューされちゃいました。」
キョーコは楽しそうに微笑んだ。
「君が可愛いからだよ。」
セドリックは熱い視線を向けた。
「ありがとうございます////ん？」
突然、大音量が地鳴りのように響き
渡った。
「やあっ、諸君。楽しんでるか！」
サンバ・ダンサーズの先導で現れたのは
ローリィ宝田と息子の皇貴、孫娘のマリ
アと美容業界の「魔女」ジェリー・ウッ
ズ。
「お姉さま、お久しぶり」
「マリアちゃん！ミューズさまも！」
キョーコは歓声をあげる。
「キョーコちゃんのメイクを担当する
のよ。
もう一人担当するけど。ふふふ。」
テン(ジェリー・ウッズの愛称)は
思わせぶりに微笑んだ。