「クオ…レンがキョーコに手をださなかっ
たということ？」
驚くジュリエナ。
「ハードスケジュールだったみたいで、
すやすやとそれは気持ち良さそうに一人
で眠られていました。」
キョーコは淡々と話した。
「モーテルですやすやと？もう、何て
こと！」
ジュリエナは頭を抱えた。
「こういう扱い慣れっこですから。そう
いえば敦賀さん、クオンさんのお部屋な
んですね。客室でなく。」
キョーコの素朴な質問にジュリエナは
ギクッとする。
「あ、掃除が間に合わなくて…レンは滞
在が短いし、いいかな。ふふ。」
かなり苦しい言い訳をしたが、キョー
コは納得した。
「そんなことより、キョーコ。明日着て
いくドレスを選ばなきゃ。ショーの
ドレスは当日のお楽しみよ。」
「はいっ！」
明日はセドリックのエスコートで
レッドカーペットを歩き、会場の美術
館では前半、蓮とジュリエナの参加す
るショーを見て、後半はアールマン
ディのモデルの一人にエスコートされ
てキョーコもステージに立ちランウェ
イを歩く。
「レンやタイラを驚かせましょうよ。
エスコートするセドリックを妬ましく
感じるくらいに。」
「よろしくお願いします、ママ！」