「伊藤くん、どうしたの？」
突然、楽屋にあらわれた伊藤勉に驚く
キョーコ。
「最上さん、忙しくて学校にこれないみた
いだから。」
勉は受験関係の各種書類を持参してい
た。
「わ…私、大学に行く予定は…」
「ダメだよ。俺達、約束したでしょ？東
大にいって卒業したら結婚するって。」
勉の言葉にキョーコはぎょっとする。
「私、言ってない！私には好きな人がい
るんだから！」
「え？誰？教えてよ。」
「俺も知りたいな。最上さん、教え
て？」
いつの間にか蓮も楽屋に来ていた。
「教えない！絶対教えないです！！」
当の本人が現れてしまい、気が動転す
るキョーコ。
「やっぱり、不破尚だね！ああ、忌々
しい。新元号さえ発表されればデビュー
できるのに。あいつなんか蹴散らせるの
に。最上さん、お邪魔したね。また、プ
リント持ってくるね。」
一人納得して帰っていく勉。
「すごい自信だね。意外と大成するかも
ね。で、最上さんの想い人は誰なの？」
蓮は是が非でも聞くつもりだ。
(…誰って言えばいいのぉぉ、貴方なんで
すなんて言えないよぉ。)
キョーコは途方にくれるのだった。