「あっ…あのっ、あの…」
キョーコはあまりのショックに口ごも
る。
ジェームスとあんなことをしていたから
誘えばOKな女と？！
車の中で震えるキョーコを蓮はドアを
開けて待つ。
「こちらのモーテルは日本のビジネスホテ
ルと同じだから安心して。」
中に入ってみるとなるほどビジネスホテ
ルの造りだ。
二人はソファに向かい合って座った。
「この界隈にカフェがないことは知って
いたので。」
蓮は彼に珍しく欠伸をしていた。
そうだ、蓮は仕事の後、最終便に
乗って数時間前に着いたばかりだ。
そのあと車で一時間以上かかるクラブ
まで運転してきた。
疲れは半端ない。
「疲れたので、少し休憩してもいい？」
蓮はキョーコにそう訊ねたに違いない。
キョーコは居たたまれなくなって
俯いた。
蓮はポットでお湯を沸かしてインス
タントコーヒーに注いだ。
「カフェ・オ・レでなくてごめん
ね。」
蓮に差し出されてキョーコはハッと
する。
「すみません！気が利かなくて！」
謝るキョーコに蓮は微笑んだ。
「いいよ、気にしないで。」
声とは裏腹に疲れが顔に色濃く
浮かんでいた。
彼には珍しく無精髭が生えていて
それはそれでセクシーだなとキョーコ
が思っていると切れ長の瞳とばっちり
視線が合ってしまった。
「あ、あの/////」
「さっきのこと説明して貰ってもい
い？」
瞬間、キョーコの怨キョアンテナが
長く伸びた。