「わおーっ、ジュリエナ。素晴らしい!」
クーが歓声をあげる。
ジュリエナはレースを施した黒のドレ
ス。金髪を横に纏めていた。
キョーコはデコルテ全開のブルーのビス
チェタイプのドレス。
金髪のウイッグをつけていた。
「キョーコ、まるで不思議の国のアリス
のようだ。可愛いぞ。」
「えっ?!」
驚くジュリエナとキョーコ。
「そうですね。ジュリエナさんは美し
く、京子さんは可愛いですね。」
泰来も頷く。
(…かなり、露出度が高いドレスなのに…)
ジュリエナは泰来の反応の薄さに落胆す
る。確かに露出度は高いが、キョーコ
は胸元が多少ボリューム不足だ。
(…泰来はグラマー好き?)
「アリスに見えますか?長めのウイッグ
もよかったかなあ。きゃあ////」
キョーコは浮かれていた。
にっこり微笑むクーと泰来。
(…キョーコは恋愛、早いんじゃない?)
ジュリエナは溜め息をついた。
(…他の招待客を焚き付けるしかないわ
ね。彼か…彼。)
ジュリエナは頷く。
「俺、何か喉が乾いたな。ソフトドリン
クいただきますね。」
泰来が冷蔵庫に取りに行こうとすると
キョーコがささっと冷蔵庫からコーラを
出した。
「はい、村雨さん。」
「あ、どうも。」
泰来は受けとりながら首を傾げた。
(…俺、好物が村雨の血(=コーラ)って
言ったっけ?この娘のバカっ丁寧な英語
にも聞き覚えあるんだよな。)
※ヒズリ家ではジュリエナのいるときは
全員英語で話している。ジュリエナも日
本語は話せるが深く理解していない。
泰来は無邪気に笑うキョーコをじっと
見つめた。
「村雨さん?」
「あんた、英語どこで習ったんだ?もの
すごく上手いからさ。」
「あの、アルバイト先で////(ホントは
尚の実家の旅館)」
「そうか。羨ましいな。英語が話せるの
はハリウッドスターになるためには必須
条件だ。流石だな。」
「ありがとうございます/////」
嬉しそうに笑うキョーコを泰来は
やはり見覚えはないと断定した。