「ダメだあ。」
「ダメだな、これは。」
ローリィ宝田と松島は溜め息をついた。
「元お色気女優だなんて最悪だ。」
松島の言葉にローリィも頷く。
「いくら蓮でも仕事に影響がでるなあ。」
ローリィも写真をしげしげと見ながら
嘆く。
「先方は誰かと差し替えてもいいと？」
松島はローリィに確認する。
「普通はうち相手だと引っ込むのによ。
天下の○春さんはもっとイメージのいい
のに差し替えてそこを撮らせろだと。」
「う～ん、瑠璃子ちゃんか京子ちゃん
？」
「ダメだな。女どもが潰しにかかる。
あのふたりは色恋はまだご法度だ。
もっと、完璧でクールで女どもが圧倒
される感じじゃねえと。」
「あ、もしかして…」
「そう、彼女を使う。」
「なんで私だけ仕事多いのよっ！」
奏江はキョーコと千織に向かって叫ぶ。
「自分の彼氏へのファンレターだもの。
当然じゃないの？」
千織は軽蔑の眼差しを向けながら奏江
に言った。
「これはとばっちりだって判ってるよ
ね？」
「はいはい。モー子さん、敦賀さんとの
ツーショットお似合いですよ。」
キョーコは顔も上げずに言った。
「もうっ！いい加減にしてよ？二人とも
敦賀さんが好きだからって！」
「「違う！！」」
二人は同時に叫んだ。
「琴南さんは男に興味なく、演技力も
若手で一番で尊敬してたのに。」
と千織。
「モー子さんは一番の親友で恋バナは
私にしてくれると信じてたのに。」
とキョーコ。
詳細は秘密だとローリィと松島に念
押しされている奏江は地団駄を踏んだ。
奏江は『ギャラクシー・ウォーズ』
に蓮と共にキャスティングされた。
これは呉前から直々にオファーが
あったもの。
しかし、事務所の力でねじ込まれた
作品が数作ある。
事務所には逆らえない。
(…敦賀さんのバカヤロウ！！)
「もうっ！頭来るー！」
奏江は地団駄を踏むしかなかった。
End
2018.10.7加筆修正