「レンから電話は？」
ジュリエナに尋ねられてキョーコは首を
傾げる。
「私に？まさか///そんな…あ、メールは
来ました。」
「そうなのっ？何て書いてあるの？」
ジュリエナがワクワクしながら促すと
キョーコは少し照れながらメールを読み
上げた。
『最上さん、アメリカの生活に馴れたか
な。仕事頑張ってね。』
「続きは何て書いてあるの？」
「終わりです。」
「まさか、照れなくてもいいのよ。」
「？」
微笑むキョーコにジュリエナは愕然と
する。
(…何てこと！クオン！何も始まってない
のぉぉぉ)
「ホームパーティ？」
「そう、キョーコに続いて、タイラも
仲間入りしたので、親しい人を呼んで
パーティしようと思うの。キョーコもド
レスアップしてね。」
ジュリエナは微笑む。
「は、はいっ！あの、料理人は足りて
ますか？」
「え？」
「よろしければパティシェをさせていた
だきたいです。」
キョーコの申し出にジュリエナは驚き
つつも了承した。
「すごいわ！でも、出来上がったら
すぐドレスに着替えてね。主役なんだか
ら。そうだ！私もお料理手伝うわ。」
「え？！」
「そうよ、その方が早いわ。」
ジュリエナの申し出にキョーコは
凍りつく。
「美しいママは料理する必要ないです
よ。大丈夫！キョーコにお任せくださ
い。」
キョーコは胸を叩いた。
キョーコは前にクオン少年を演じた
ことがあるが、その時に作ったとんでも
ない料理がそっくりそのまま朝食に出て
きた時は驚いた。
クーが平気で食べてくれたことに
驚いたが、妙に納得した。
ジュリエナの料理はダイナミックで
追随を許さない。初日の朝に衝撃を受
け、それからはキョーコが料理を作って
いた。
クオン少年は毎日ジュリエナの料理を
食べてどう感じていたんだろう？食事す
ることが嫌いになっていないだろうか？
(…くすっ、敦賀さんみたいになってたり
して。)
ジュリエナの感じではクオンは亡くな
ってはいないようだ。
「あの？クオンさんはパーティにみえ
るんですか？」
キョーコの言葉にジュリエナは思い
きり狼狽えた。
「ク…クオン？あの、えと、外国にいる
ので今回は欠席よ。」
「どちらの国ですか？」
「それは、ジャパ…イタリアよ。モデル
をしてるの。(…ホントだもの)」
「クオンさんもモデルなんですね。」
「ふふ、そうよ。アールマンディの
専属モデルよ。」
「アールマンディ？！」
キョーコは驚く。