何事も真面目で真摯な彼ならば彼女に
対しても心から真っ直ぐに真摯に向かい合
いそして大切に触れるのだろう。
「ですから、敦賀さん！触れる相手が
違うでしょう！」
キョーコは頬を撫でる蓮に抗議した。
「俺は最上さんに触れてるけど？怪我し
てないか確認してるんだけど。」
神々スマイルを浮かべ、甘い声で答え
る。
「つっ////触り方がまるで…まるで」
キョーコは顔を真っ赤にしながら
言葉を発しようとするが、恥ずかしく
て言えない。
「まるで何？」
蓮はキョーコを見つめながら促す。
「まるで、恋人に触れているようで
す！」
キョーコの言葉に蓮は微笑み、
軽く口づけた。
「恋人にしてくれる？」
蓮はさらりと言ったが、眼差しは
真剣だった。
「つ、敦賀さん////突然、キ、キス
とか告白とか変ですぅ。」
狼狽えるキョーコに蓮は意地悪く
笑う。
「気がついてたんでしょ？俺が最上
さんを好きだということ。」
「滅相もない！神の寵児が平民に心奪
われるなど絶対にありません！」
後ずさりしながら全面否定するキョ
ーコ。
「キョーコちゃん、敦賀蓮相手だと
態度全然違うよね。」
「へっ？」
キョーコは蓮のキョーコ呼びに驚く。
(…この口調って…この口調って！！)
「コーン！！敦賀さんに化けてたわ
ね！おかしいと思ったのよ。敦賀さん
には想い人がいるのに私にキスするな
んて。」
「想い人って誰？敦賀蓮の想い人は
最上キョーコでしょ？」
蓮は少し照れながら言う。
「違うわよっ！４つ年下の高校生の
キョーコちゃんさんよっ！」
「君じゃないか。」
「違うっ！敦賀さんはキョーコちゃん
なんて私を呼ばない。私のことは事務
所の後輩としか思ってない！」
「俺は最上さんが好きだ！」
「コーン止めてよ。敦賀さんの真似し
ないで！」
キョーコは涙を溜めながら叫んだ。
蓮はキョーコを思いきり抱き締めた。
「愛してる！君を愛してるから。」
「敦賀さん…つうっ…コーン止めてよ
っ！」
「止めないっ！！」
二人を呆然と見つめる社。
(…二人とも俺のことすっかり忘れてる
よな。まあ、キョーコちゃんが元気に
なってよかったよ。)
End
2019.4.5加筆修正