「おまたせ」
蓮がカッブをキョーコに手渡す。
「ありがと。さあ、どうぞ。」
キョーコはソファの隣を指差す。
蓮はチラッとキョーコを見て無言で
腰を降ろす。
キョーコは微笑みながら蓮の腕に
両手を絡ませる。
「ねえ、敦賀さん。キスして」
「嫌だ。」
「どうして?」
「君はサクラだろ?」
蓮の問いに「サクラ」は口角をあげた。
「あら、気がついちゃった?サクラの
こと嫌い?」
「役名だ。どうしてサクラを演じて
いるのかな?」
「敦賀さん、どうしてグアムのホテルで
カイン・ヒールを演じたの?」
「サクラ」は質問に質問で返した。
「それは……」
蓮は言葉につまる。
「理由はわかってるわよ。」
「サクラ」は勝ち誇ったように微笑み
を浮かべた。
「セツの方が魅力的だから。最上キョー
コみたいな地味で色気のない娘と一緒の
部屋にいたくないから。」
「違うっ…」
思いがけない言葉に蓮は即座に否定す
る。
「最上さんは勘違いしている。俺がカイ
ン・ヒールを演じたのは俺が最上さん
を///」
蓮は言いかけてハッとする。
微笑みを浮かべてるのはキョーコでなく
「サクラ」だ。自分の気持ちは話せない。
「私をなあに?」
「サクラ」はなおも畳み掛ける。
「いや、何でもない。送っていくよ。」
「ダメよ。夜は長いのよ。楽しみまし
ょう?」
「サクラ」は蓮の前をはだけて筋肉質の
胸に指で円を描いた。
蓮は「サクラ」の誘惑に堪えた。
「素直じゃないのね。いいわ。」
「サクラ」は蓮の手を自分の胸にあてた。
「触って?」
掌にずっしりと質量を感じ、ハッとする
蓮。
「ふふ、触っていいのよ?」
勝ち誇る「サクラ」の手を蓮は振りほど
き、逆にセクシーな眼差しで「サクラ」を
見つめた。
「君、俺とシたいの?」
「え、ええ////勿論よ。」
目が泳ぐサクラ。
「残念だなあ。俺は最上さんとしか、
シたくない。」
「え?!」
目を大きく見開く「サクラ」
「という訳だから今日はおしまい。」
蓮はクスッと笑った。
リク罠&逆引きドボン作品記録<7>