「最上さん、久しぶりの共演だね。宜
しく。」
蓮に声をかけられてキョーコは何度も
会釈した。
「こちらこそよろしくお願いしま
すっ！」
キョーコは蓮が主演の学園ドラマで
共演することになった。
蓮は新任教師。キョーコは生徒役だ。
蓮の恋人役は美人女優澤乃井麻里だ。
「ねえ、京子さん。どうしてヒロイン
オーディション受けなかったの？共演も
多いし、あなたなら受かったんじゃな
い？」
麻里の言葉にキョーコは「とんでもな
い！」と首をブンブンと横に振った。
「私ごときが敦賀さんの相手役などとん
でもない！ましてやキ、キスなど////」
「へえ、最上さん。俺とキスしたくなく
てヒロイン役を受けなかったんだ。」
蓮が１オクターブ低い声で不愉快そう
に呟いた。
怨キョアンテナが長く延び、キョーコ
は凍り付く。
「そ、そういう訳ではありません！！」
キョーコは必死で弁明する。
「じゃあ、理由を教えてくれないか
な？」
蓮は腰に手を置き、次の言葉を待った。
「私が敦賀さんの隣など釣り合いません
し、まして、人様の前でキ、キスなど
破廉恥ですっ！！」
「おかしいだろう！俳優がキスしなくて
どうする。おいで、練習しよう。」
「あのっ、何故に練習を？私、ヒロイン
じゃありません！」
「役者の法則！問題点は即座に解決だ
よ。」
蓮はそう話ながらキョーコを抱き寄せ
た。
「きゃっ、敦賀さん/////」
麻里を始め、ドラマ出演者達は驚いて
二人に目をやる。
「やだっ、敦賀さん、離して。」
「ダメだ！離さない。」
蓮はキョーコの唇を指でなぞると
下唇を少し捲って半開きにしてキスを
した。
長いキスに唖然とする周囲などお構い
なしに蓮はキスを終えてもキョーコを
抱き締めていた。
「敦賀さん/////」
「愛してる。俺から離れていかないで」
切なげにキョーコを見つめる蓮。
キョーコはキュンとした。
「はい。」
「もうっ、勝手にやってよ！」
麻里はぼやいたが、周りはキスする
蓮のセクシーさにボーッとしていた。
End
2018.7.23加筆修正