「最上さん、俺だけ間違えてごめんね。」
蓮はキョーコに詫びた。
「いいんです。相手が私の料理を研究しつ
くしてますから。食の細い敦賀さんにあて
るのは厳しかったかもしれません。」
「そんなことない!ゼリーだったから。だ
から最上さんだと思って選んだんだ!」
「敦賀さん…。」
蓮の言葉にキョーコはキュンとした。
「あ、あの…坊がそこらへんも…みんなお
見通しというか敦賀さんは悪くありません
から。」
「俺まだ最上さんの味がわかってないん
だな。そうだ、これから俺のマンションで
なにか作って貰えるかな。」
「え?」
「チョコレートを作ってくれる?」
「………。」
「さっき、口にしなかったチョコはス
タッフに頼んで貰ってきたけど出来たて
を食べたいなあ。」
「チョコの出来たてって冷蔵庫で冷やす
から時間がかかります。次の日に取り出
さないと。」
キョーコは躊躇する。
「じぁあさ、泊まればいいんじゃな
い?」
「!!」
蓮の表情にキョーコはふと、「ばれな
きゃいいんじゃない?」と言ったコーン
の顔が浮かんだ。