拍手でむかえられたキョーコは丁寧に
お辞儀をする。
拍手するブリッジロックや社、奏江。
派手に敗北のポーズをする『坊』
(…敦賀さん、選んでくれなかった。)
キョーコはジト目で蓮を見た。
蓮はバツが悪そうに拍手していたが、
キョーコの冷たい視線を受け、がっくり
と肩を落とす。
(…最上さんの味に似て作られていたけど
あの味、何処かで食べた覚えがある…)
「『気まぐれロック』は本日最終回！！
勝者、京子さんのお料理番組『京子がクッ
キング！』が来月から始まりますのでお楽
しみに！！」
ブリッジロック、坊に花束が渡され
大きな拍手につつまれた。
キョーコは複雑ながらも拍手した。
(…皆さん！ありがとう。そしてまたよろ
しくお願いします！)
もっと複雑なのは蓮だ。
一番、キョーコの料理を食べている
であろう自分が間違えた。
鶏に１票を投じてしまったバカな
俺。
ちらっと鶏を見ると嘲笑ったような
気がした。
鶏は駆け寄ってきて『デコピン』を
すると「バーカ」と言って去っていっ
た。
(…父さん？！)
蓮は幼い頃、忙しい母に代わって
父に料理を作ってもらっていた。
(…そういうことか…。)
『坊』 は父だったのだ。
しかし、毎週日本にやってくるなど
不可能だ。いつもの坊は誰だ？！