「え?私が敦賀さんの相手役ですか?」
キョーコは突然蓮に依頼されて驚く。
「うん。是非、君にお願いしたい。」
蓮は微笑んだ。
「あの?どんな役なんですか?」
キョーコは照れながら蓮に訊ねる。
蓮はキョーコに台本を渡す。
第1話~第3話までを読む。
徐々に青ざめるキョーコ。
「あの…この役を敦賀さんが?」
「うん、そうだよ。」
蓮は頷いた。
「貧乏でフリーターでボーッとした
大男。一目惚れした飛鳥の胸に欲情
した和人は常に触ろうと狙っている。
飛鳥は何がいいのか知らないが和人
と暮らし始め、得意の料理や片付け
に励む。徐々に心の平安を取り戻した
和人は就職試験に臨む。一体、何が
よくてこの作品に出られるんですか?」
キョーコは半ば呆れながら訊ねた。
「近衛監督の初テレビドラマで主演は大
男となっていたのでぜひ演じたいと思っ
てね。」
「はあっ?おかしいですよ!敦賀さ
ん。この役全然あってないですっ。」
「そう?大男で無口でぼけっとしたって
俺っぽくない?」
「違いますっ!敦賀さんは長身でクール
でかっこいいんですっ!」
「え?」
蓮はいきなりキョーコにかっこいいと
言われ照れる。
「つまり!年末の番組で芸人さんが言
ってましが、綺麗で性格の悪い娘は小悪
魔と呼ばれますが、ブスで性格の悪い娘
はブスで性格の悪い娘とそのまま呼ばれ
ます。」
「なるほど…」
「そして!飛鳥は何にも関心がない
和人が夢中になるほどのナイスバディで
す。特に胸が////何故、私に?」
キョーコは俯きながら聞いた。
「最上さんはその…小ぶりだけど形がい
いよ。」
「@%%&#¥$&!敦賀さん、セクハラ
ですっ!」
キョーコは真っ赤になった。
「そんな変なドラマに私は出ません!」
「それは困るっ!あと5日で飛鳥を見つ
けないとこのドラマはお蔵入りになるん
だ。頼む、最上さん!」
お得意の捨てられた子犬の目でキョー
コを見つめる蓮。
「もううっ!椹主任と社マネージャ
―に聞いてきます。」